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ITツール導入で必要な「教育」

■ITツール導入における「教育」の位置づけ

 よくある弊社へのご相談の一つに「ITツールを導入したのですが、会社に浸透しなくて困っています」というものがあります。ITツールが会社に浸透しない原因は、2つに集約されます。一つは、ITツールの品質が著しく低い、業務にフィットしていない等、ITツール自体に問題があるケースです。もう一つは、ITツールの定着化に問題があるケースです。

 今回は、ITツールの品質に問題が無いという前提で、後者の定着化について考えてみたいと思います。ITツールの定着化に焦点を当てる場合には、組織体制と教育に問題がないかを考える必要があります。

 組織体制に関しては、ITツールを導入・浸透させるための機能を会社の中に持っているのか、適切な人材が関与しているのかということを見ていくことが必要です。ITツールの導入のというのは、本業の延長線上にはありません。ですから、取り組みを推進させるためには、既存の組織体制とは別の機能を持つことが必要なります。例えば、ITツール導入・浸透に特化した推進室を社長直下で設けるということも必要になるかもしれません。更に、ITツールを適切に浸透させるためには、適切な人材を配置していくことも極めて重要です。

 そして、ITツールを浸透させるためには、組織体制の整備と同時に、教育についても考える必要があります。特にITツール導入において、システム会社のような外部パートナーを活用する場合には、この教育という観点を慎重に考慮しておく必要があります。なぜならば、ITツールを導入するということに重きを置きすぎて、教育が手薄になると、導入後に会社に浸透せずに苦しむことになるからです。良く起こりがちなケースとして、システム会社が関与している間は良いのですが、システム会社との導入期間の契約が終わってしまうと会社の中にシステムを使いこなすことが出来る人材が不足していたことに気が付き、ITツールの運用に問題が生じることがあげられます。

■教育を適切に進めるためのPMT

 ではどのようにすれば、ITツールの浸透を実現するような適切な教育が可能になるのでしょうか?それには、教育・定着のPMTを抑えることが大切です。PMTとは、計画(Planning)、マニュアル(Manual)、トレーニング(Training)の頭文字をとったものです。

 まず、計画(Planning)とは、教育・定着のための計画をしっかりと作っておくことです。教育・定着計画は、システム会社の選定の時から意識をしておく必要があります。つまり、選定対象のシステム会社がしっかりとアフターフォローも含めて、教育を行える体制となっているのかどうかを見極めることが大切です。更に、ITツールの導入が始まったタイミングで、システム会社も含めて教育計画を作りはじめるようにしましょう。

 そして、マニュアル(Manual)を作ることも重要です。マニュアルが無ければ、10言わないと分からないことも、マニュアルを作っておけば、1、2話せば伝えることも可能となります。ITツールを導入したシステム会社との契約が運用フェーズに切り替わった後も、マニュアルがあれば、システム会社への問い合わせを減らすことも可能となり、円滑な業務遂行を期待できます。また、ITツールに詳しい担当者が不在のときでも、マニュアルがあれば、何とか業務を遂行させることも可能です。

 トレーニング(Training)に関しては、ITツールを浸透させるために、どのようなトレーニングが必要なのか、誰が誰に対してトレーニングするのか、そして、いつトレーニングをするのかを検討し、教育計画に盛り込んでおくことが必要となります。また、トレーニングを実施した際には、実際に習得できたのかを把握するために、テストを用意するなどの工夫も求められます。

 以上のように、ITツールを定着化する際に、教育は極めて重要です。そして、教育を検討する際には、PMTの観点を踏まえると、適切な教育の実現が可能となります。

(第49回: 2019/9/18)