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第51回: 経営改革が「木を見て森を見ず」になる理由

■経営改革の「木を見て森を見ず」とは?

 同業のコンサルティング会社の方と面談する機会がありました。その中で、「経営改革を進める際にITツールのような手段ありきに陥っている場合、効果をあげるように支援することは難しいですね」という話になりました。

特に大企業においては、AIやブロックチェーンのような新しいテクノロジーを活用して何か新しいことをすることが目的でプロジェクトが起こることがあります。新しいイノベーションに取り組んでいる先進的な企業だというイメージ戦略の意味でも、有意義であることは確かです。しかし、実際に業務の効率化や生産性向上に寄与できるかというと、なかなか思うようにいかないものなのです。

また、中小企業においても同じように導入したITツールがあまり使われないというような自体に陥ることがあります。これらの事例が何を意味しているのかというと、何れも木を見て森を見ずという状態に陥ってしまっているために起こっていることと言えます。どういうことかと言いますと、ITツールのような手段や一部の領域に囚われた改革となっており、今の会社にとって本当に求められていることに取り組めていないということです。

■「木を見て森を見ず」を回避するために

 では、なぜ、「木を見て森を見ず」の状態に陥ってしまうのでしょうか?それは、会社全体の課題を把握したうえで、問題・課題を洗い出し、何をやるべきかということの意思決定をしてないからです。つまり、会社のミッション、ビジョンを踏まえて、戦略、組織、業務プロセス、ITツールが整合性をもって、検討・計画・実行されていることが必要なのですが、それがなされていないということです。

しかし、この全体感を持って施策を立案・推進していくというのは、言うは易く、行うに難しいことの一つです。何故かというと、会社の中では日々色々な問題・課題が発生しており、目の前のことに対処することに時間や労力が使われがちです。それに加えて、AI、ブロックチェーンのような新しいテクノロジーに競合企業や有力企業が取り組んでいるというような記事が巷にはあふれています。ですから、うちの会社も何かやらなくてはならいという理由から同じような取り組みを始めてしまいがちです。そうすると、手段であるITツールの導入が目的化してしまい、投資をいくらしても一向に実りがないという事態に陥ってしまうのです。以上のように、日常の問題に忙殺されてしまうことと、手段と目的を混同してしまうということが、全体感を見失い、「木を見て森を見ず」の状態に陥らせる原因なのです。

こういった事態は、多くの経営の現場で起こっているのですが、残念ながら全体感を持った施策の推進のための確固とした手法は存在しません。あえて、一つの対処法を挙げるとすると、フレームワークを活用するというです。特に組織改革を検討するときには、「ビジョン・戦略・戦術」というタテの整合性を保ち、戦略・戦術を具体化していくときには、「PPT(People、Process、Technology)」といったヨコの観点で抜け漏れがないのかを検討していくことが大切です。ここで細かくこれらのフレームワークの説明をすることはしません。しかし、これらのフレームワークを活用することで、日常業務に追われている状態から離れて、ビジョンや戦略というより重要な事柄について、腰を据えて検討するきっかけとなります。また、手段と目的を混同していないかという気づきを得られることもできるはずです。

以上のように、組織改革において、「木を見て森見ず」という状態から脱却するためには、一度腰を据えて会社の状態を検討するという当たり前のことが大切となります。

(2019/10/2)