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Withコロナにおけるジョブ型雇用

■ジョブ型雇用とは何か?

 Withコロナにおいて、大企業を中心にジョブ型雇用が広がりを見せています。日経新聞の記事によると、資生堂、日立製作所、富士通がジョブ型雇用の採用を発表しています。

・資生堂: 2021年1月から少なくとも約8000人のオフィス社員へ拡大
・日立製作所:約2万3千人対象に21年4月から本格導入
・富士通:20年度に課長級以上の管理職で導入し今後順次拡大

 まず、ジョブ型雇用とはなんでしょうか?

 ジョブ型雇用を説明するために、対になる雇用形態である、メンバーシップ型との比較で説明したいと思います。

 メンバーシップ型とは、現在の日本の一般的な雇用形態です。時間労働制といってもいいかもしれません。例えば、朝9時から夕方5時まで働いて、成果の有無にかかわらず給料を支払います。また、残業をすればその分の残業代を支払います。

 他方、ジョブ型雇用とは、端的にいうと成果主義の働き方です。ジョブ型では、職務定義書(英語ではジョブ・ディスクリプション)に社員の職務を明確に示します。そして、従業員は、このジョブ・ディスクリプションで示された仕事を行います。評価も、働いた時間の長さではなく、求められる仕事を実際に行えていたかで評価されます。

ジョブ型雇用が広がっているのはなぜか?

 リモートワークが進むと、何時から何時まで仕事をしたのかということが、会社からは見えづらくなります。つまり、従業員が残業をしているかどうかは会社には分からず、残業代を適切に支払うことが難しくなるのです。そのため、成果主義であるジョブ型雇用が進みやすくなります。

 また、オフィスにいれば、多少曖昧な指示でも、こまめにコミュニケーションを取りながら仕事を進めることが出来ました。しかし、リモートワークで仕事をさせるには、曖昧な指示では、仕事を進めることが出来ません。つまり、仕事内容を明確にすることが求められます。つまり、ジョブ・ディスクリプションを作るジョブ型雇用と相性が良いのです。

 このように、Withコロナにおいてジョブ型雇用が進むのは、リモートワークでは、社員の実際の労働時間が分からなくなるということと、仕事内容を明確にする必要があり、ジョブ型雇用と相性が良いためです。

■ジョブ型雇用のメリット・デメリット

 ジョブ型雇用のメリットは、やるべき仕事が明確になるので、リモートワークに適しているというこです。また、仕事の成果によって、評価できるので、残業時間等を考える必要がなく、これもリモートワークに適していることです。

 逆にジョブ型雇用のデメリットは、会社の仕事を明示しなくてはならいということです。そのような文化が無い会社にとっては、導入が難しくなります。また、新卒社員等のスキルが低い人材の育成には適していません。

■中堅・中小企業がジョブ型雇用を採用するときの留意点

 経営者視点で、自分の会社がジョブ型雇用にあっているのかということを見極める必要があります。ジョブ型雇用は、規模が大きな大企業に適しています。なぜならば、大企業の場合には、仕事の内容を明示できる職務が一定量存在するからです。一方で、従業員数の少ない中小企業では、一人の従業員が、総務をやって、経理をやって、情報システムもやってという具合に、色々な役割を担っていることがあります。このような場合、ジョブ型雇用は適しません。自社がジョブ型雇用に適しているのか、あるいは、ジョブ型雇用に移行できる領域はどこなのかを見極める必要があります。

 以上のように、ジョブ型雇用とは、求める仕事の内容を明確にすることで、労働時間ではなく、成果で評価する成果主義の雇用形態です。ジョブ型雇用を導入する際には、特に中堅・中小企業においては、自分の会社にジョブ型雇用が適しているのかを見極めることが必要となります。

(第89回: 2020/6/24)