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リモートワークはいつまでいつ続くのか?

リモートワークの実施状況

 5月末に緊急事態宣言が解除されてから、リモートワーク/在宅勤務の実施率は下がっています。パーソル総合研究所の5月末から6月はじめにかけての調査によると、リモートワーク実施率は25.7%と4月中旬調査より2.2ポイント低下しているようです。また、6月下旬の時点では、リモートワーク実施率は更に下がってきているように感じます。

企業による差異

 このような状況において、それでもリモートワークを継続している企業とリモートワークを止める企業で方針が分かれはじめています。6月下旬の日経新聞の記事においてもリモートワーク(在宅勤務)への評価は企業によって、差がでてきていると報じています。大手企業では、伊藤忠商事は原則出社に切り替え、日立はリモートワークを継続しています。

差異発生の傾向

 何故、このように企業によってリモートワークへの評価が分かれてきているのでしょうか?

 日経新聞の記事において、リモートワークを継続している企業と、リモートワークではない状態に近づいている企業が紹介されていましたので、理由を考えてみました。あくまでも、仮説としてですが、企業間で差異が発生している原因は、会社が重きを置いている職種と仕事の仕方のスタイルに違いがあるということです。つまり、比較的に営業を重視しており、対面でのコミュニケーションが必要な会社は、リモートワークを続けるメリットが小さいと考えられます。ですから、リモートワークを止める方向に向かいつつあります。これらの企業の例が伊藤忠商事やキーエンスです。

 一方で、比較的に、プロダクト/サービスの製造や開発に重きを置いており、対面のコミュニケーションよりもどちらかというと作業を重視する企業においては、リモートワークが適しているようです。顧客や社内での対面コミュニケーションが少ない分、リモートワークでも生産性がそんなに変わらないためです。これが、日立製作所、味の素、日清食品、ドワンゴのような会社がリモートワークを継続している理由なのかもしれません。

 一方で、GROUNDという物流スタートアップは、リモートワークでコミュニケーションが難しくなったと紹介されています。当社では外国語を母国語とする社員の比率が高く、英語、中国語などの多数の言語が飛び交う中でのコミュケーションが難しくなったからだそうです。このことから分かることは、AIによる物流ソリューションを提供するプロダクト重視の会社であっても、対面での対話が重視される場合には、リモートワークが適さないということです。

リモートワークはいつまで続くのか?

 では、リモートワークがいつまで続くのかという結論ですが、これは、会社によるということになります。プロダクト/サービス重視、且つ対面のコミュニケーションよりも作業を重視するような会社においては、リモートワークが今後も続き、常態化していく傾向が強くなります。他方、顧客との対面のコミュニケーションが求められる営業重視型の会社や、社内での対面のコミュニケーションが求められる会社においては、リモートワークを中断する傾向が強くなります。

 更に、第ニ波が来るのか来ないのか、来た時の強さはどの程度なのかということも、リモートワークの継続、再開に大きく影響を及ぼします。一つ確実に言えることは、リモートワークを継続する、継続しないに関わらず、これまでよりも多様な働き方を模索し続ける必要があるということは、しばらくの期間続きそうです。

(第90回: 2020/7/1)