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コロナ危機における経営5つの心得

■危機に強いオーナー企業

 今回のコラムは、6月下旬のコロナ危機にはオーナー企業が強い、という記事に関連してのコラムです。コロナの影響で株価は一旦急落し、その後急上昇しました。その上昇に弾みがついているが、日興アセットマネジメントの「ミュータント」という日本株の投資信託です。1年前に比べて、34%上昇しており、日経平均の同期間の5%よりも大幅に増加しています。

 経営は、長期の視点が必要ですが、コロナのような危機的な状況においては、撤退あるいは、新しい事業へのチャレンジを迅速に行えることが求められます。このような事が出来るのはオーナー企業だからこそで、合議制を敷いている経営体制では難しいとしています。

コロナ危機における経営5つの心得

 オーナー企業のような特性を持っている企業が危機には強いという記事は、企業再生の専門家である富山和彦氏が、5月に出版した本にある、危機時における経営の心得にも通じるところがありました。今回は、同書籍ある心得を5つにまとめてご紹介します。

①想像力

 最悪の想定をおいたうえで、最善をつくことが必要となります。楽観的なシナリオを描いていると、想定と違うときに、打ち手が後手後手となり、社員の士気も下がり、坂道を転がり落ちるように転落していきます。ですから、経営トップがしっかりと、最悪状況を想定し腹に収めたうえで、最善の打ち手を打っていくことが求められます。

②透明性

 経営が苦しくなると、Bad Newsを隠すようになります。これは、評判や信用を棄損するのではないか、事業が破綻するのではないかという恐れが会社に蔓延するからです。しかし、不確かな情報で意思決定をすると、間違いを起こしやすくなるということを肝に銘じて、Bad Newsほど素早く報告させることが重要となります。

③お金の管理・調達

 危機的な状況においては、PL目標は捨てて、キャッシュがどれだけあるかに注目することが大切となります。企業の生死にかかわる状況においては、PL上の売上減少や赤字を恐れていてはダメで、現金が回るのかに着目する必要があります。キャッシュショートしないように、キャッシュ残高を日繰りで管理する必要があります。

また、「お金」の調達は、デット性資金とエクイティー性資金の2種類があります。売上の長期減少による赤字補填や構造改革資金は、もらいきりの助成金・給付金や出資してもらうことで手に入るエクイティー性資金でまかなうことを推奨しています。

④断行力

 経営が危機的な状況においては、合議制では乗り切れません。やはり、何を捨て、何を生かすのかという厳しい決断をするときに、皆の意見を聞いて意思決定をするということでは正しい決断を迅速に行うことが出来ません。必要に応じて専門家を使いながら、経営トップの独断で迅速な決断をすることが求められます。

⑤メンタリティー

 危機時には、批判を恐れないで、自分が正しいと思えることをやり抜くタフさが求められます。事業をどんな形でも生き延びさせるために、あらゆる手段を講じるためには、胆力が無くてはならいということです。また、危機に耐えながらも、攻勢に転じる機会や投資機会を狙うネアカさも必要となります。

 以上が、心な危機における経営の5つ心得です。同書籍は、危機における経営の心得が他にも紹介されていますし、コロナショックにおける経済の動向やコロナショック後の経営の在り方などについても記載されていますので、興味がある方はぜひご覧ください。参考文献に書籍名等、記載しておきます。

(参考文献)

富山和彦, (2020), コロナショック・サバイバル 日本経済復興計画. 文藝春秋.

(第91回: 2020/7/8)