ギグワークの活用
■副業人材(ギグワーク)増加の背景
コロナ禍で、リモートワークの進展やジョブ型雇用への移行など働き方が変わってきています。2020年には、フリーランスが1,000万人を突破するなど、社外人材を活用する余地が増えてきています。さらに、トヨタでさえも終身雇用を維持することが現実的ではないと発表しており、また社員が副業をすることを許可する会社も増えてきています。このような状況の中で、会社が社外人材を活用する際の一つの形態として、ギグワークの活用が考えられます。
ギグワークとは、「1~3時間など短い時間だけ働き、継続した雇用関係を持たない働き方」のことです。2021年3月に、ギグワークの仲介会社であるココナラが東証マザーズに上場します。これで、クラウドワーク、ランサーズ、ビザスク、ココナラの4社がギグワークの仲介会社として上場することになります。通常、ベンチャー企業の上場は、1つの領域で1社であることが多いのですが、1領域で4社も上場していることからギグワーク市場の勢いを感じます。
■ギグワーク4社の特徴と活用イメージ
出所:2021年2月時点の日経新聞、および各社HP
ギグワークといっても上場4社の仲介会社によって、仕事内容や仕事の仕方にそれぞれ特色があるようです。2014年に一早く東証マザーズに上場したクラウドワークスや2019年に上場したランサーズは、売上シェアも大きく2社合計で上場4社の売上の約80%を占めています。また、クラウドワークスやランサーズが仲介する仕事も似通っているようで、定型業務型といってもよいかもしれません。定型業務型とは、データ入力、Webデザイン、サービスロゴのデザインなど、比較的に仕事の内容や仕事の相場が決まっているような仕事です。大手企業がサービスロゴのデザインなどでクラウドワークスやランサーズを活用するというのは珍しいことではなく、それだけ浸透しているということなのかもしれません。
次に、2020年にマザーズ上場したビザスクは上場4社における売上シェアは7%ほどとなっています。サービス内容は、スポットコンサル型となっていて、スポットでのインタビューや1時間程度の相談ベースのコンサルティングとなっています。例えば、「社員〇〇名以下の企業のマーケ担当へのWeb広告のランディングページのインタビュー」というように、スポットでのインタビューを依頼するような形になっています。
そして、2021年3月にマザーズ上場するココナラの売上シェアはビザスクよりも大きく12%程となっています。ココナラは、サービス内容を働き手側が決めることができるサービス提案型と呼ぶことが出来そうです。対面型サービスやブログの作成といった仕事も存在し、クラウドワークスやランサーズではカバーできない仕事を提供するようなイメージなのかもしれません。また、提供側が値決めできることから、比較的に定型的な仕事よりも買いたたかれにくいという特長もあるようです。
このように、ギグワークを通じて、副業人材などを活用する場合には、仲介サービスによって、特徴が異なることを念頭に入れておくことが必要です。データ入力やWeb制作のように比較的に定型的で相場が決まっている仕事であれば、クラウドワークスやランサーズを活用することが妥当かもしれません。また、スポットでの調査や経験者に相談したい場合にはビザスクを、クラウドワークスやランサーズではカバーしていないような仕事についてはココナラをという具合に使い分けることも可能かもしれません。いずれにしても、コロナ禍が社外の人材を活用する度合いを高めていく可能性もあり、ギグワークの活用も念頭いれておくと良いかもしれません。
(第123回: 2021/2/24)