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会社選びの軸(「やりがい」から「働き方」へ)

■コロナ禍での企業選びの軸

 コロナ禍で転職者の企業選びの軸が変わってきています。エン・ジャパンが公表している1万人を対象にしたアンケートでは、約4割の人が「コロナ禍で企業選びの軸」が変わったと回答しています。

出所:『エン転職』1万人アンケート(20212月)

 更に、企業選びの軸が変わったと回答した人へ、具体的に何を重視するようになったかという質問をしたところ、1位が「希望の働き方ができるか」で約42%を占めています。ここで言われている「働き方」とは、リモートワークや副業などができるか否かということです。3位の勤務時間や勤務地も「働き方」に関係しています。一方で、2020年8月時点の「転職を考え始めたきっかけは?」というアンケートでは、1位が「やりがいや達成感を感じない」という回答となっていました。

出所:『エン転職』1万人アンケート(20212月)(複数回答可)

 このようにコロナ禍によって、転職者の仕事に対して求めるモノが変わってきているということが言えそうです。ざっくりというと、「やりがい」から「働き方」を求めるようになっているということです。これまでは、一つの会社の一つの仕事に縛られるということが前提となっていました。このような状況では、仕事に対する「やりがい」が非常に重要な要素となります。今勤めている会社の仕事以外に選択肢がないからです。しかし、リモートワークを経験することによって、通勤時間の削減や時間の有効活用、副業の実施などを経験することによって、一つの会社の一つの仕事に縛られない働き方に多くの人が気付きました。そうなると、自分のキャリアの可能性を広げられる「働き方」が許される企業を選ぶのは至極当然の流れのように感じます。

 今後、人を採用する場合には、「働き方」の観点でリモートワークや副業の自由があるという点を示すことが有利になるように思います。逆に、そのような働き方ができるということを示せれば、中小企業であっても、優秀な人材を採用できる可能性が高まるということです。

■新しい採用の模索

 このように、転職者の求めるモノが「やりがい」から「働き方」に代わっているときにどのように採用を進めていけば良いのでしょうか?

 3つのポイントがあると思います。一つ目は、会社においてリモートワークの推進や副業を推奨する動きを進めるということです。現時点でリモートワークを行っていない場合、「働き方」を求める転職者を獲得することは難しくなるからです。

 二つ目のポイントは、希望に沿うような「働き方」ができる会社であるということをアピールしていくことです。

 三つ目のポイントは、副業や採用の新しいプラットフォームを試してみるということです。例えば、2021年2月の日経新聞に掲載されている副業・転職のマッチングサービスのYOUTRUSTは、副業を一定期間行ってみて、双方で合意に至れば副業先の会社に転職できるというようなサービスを展開しています。このようなやり方であれば、会社も転職者もミスマッチが少なく、採用を進めることが可能です。

 以上のように、コロナ禍によって、転職者が仕事に対して求めるモノが「やりがい」から「働き方」に代わってきています。このような変化は一旦進んでしまうと元の状態に戻る可能性は低いと予想されます。ですから、そういった人材を採用するためには、会社の側が仕組や体制を変えていく必要があるのかもしれません。「働き方」の点で魅力的な会社であることを演出することが、採用の観点では重要となるからです。

[参考情報]

『エン転職』1万人アンケート(2021年2月), エン・ジャパン, https://corp.en-japan.com/newsrelease/2021/25262.html

『エン転職』1万人アンケート(2020年8月), エン・ジャパン, https://corp.en-japan.com/newsrelease/2020/23810.html

(第124回: 2021/3/3)