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■不安を覚えるリスク管理とは

 色々な会社において、サービスや事業の継続性について話題となっています。つまり、コロナウイルスの感染が発生した場合に、どのように対応するつもりなのかということを考えざる得ない状況になってきているというこです。対応方針や対応レベルは、業種や会社によって様々だと思います。その中の一つの対応として、「ウイルス感染が発生したとしても、ウイルス感染した担当者とは別の担当者が対応しますのでサービスが止まることはありません」というものがありました。

 サービスを停止させてはダメだという強い思いが伝わってきて、心強いとは感じましたが、反面一抹の不安も感じました。断って置きますが、この対応に非があるということで全く無いのです。むしろ、何とかサービスを継続させようとする誠意のある素晴らしい対応です。

 また、事業を継続させるために、リスクを最小化していくというのは当然のことです。つまり、コロナウイルスの感染に関していえば、社員に感染者が出ないように、必要な対策を打つということです。例えば、手洗い、うがいを徹底すること、リモートワークを取り入れることや、都市部においては時差出勤を取り入れるというようなことです。しかし、落ち着いて考えてみますと、今回のコロナウイルスのようなケースにおけるリスク管理としては、もしかしたら、これだけでは不十分かもしれないと感じました。

■リスク管理において大切なこと

 今回のケースにおいて、検討しておかなければならいないことは、実際に社員に感染が発生した場合にどのように対応するのか、、、ということを考えなくてはなりません。何故か?それは、実際に感染者が発生した場合、状況によってはサービスや事業の継続が一時的に止まらざる得ない状況になるからです。

 これは、車の運転で考えてみると良いかもしれません。車を運転するときには、事故を起こさないように最善の注意を払います。例えば、シートベルトをしっかり絞めること、車検に出して車を定期的にメンテナンスすること、スピードを出しすぎないようにすることや、交差点や通学路の近くでは更に注意深く運転をするというようなことが含まれます。これらは、車の事故を回避する上で、非常に大切なことではあります。しかし、これだけでは、安心して車を運転できません。やはり、実際に事故を起こし加害者になる確率はゼロではありません。そして、事故を起こしてしまった場合、多額の損害賠償や刑事上の罪に問われる懸念もあります。

 このようなリスクを考えると、安全運転のために最善を尽くすというだけでは不十分で、万が一事故を起こしてしまった場合の対応方針も考えておく必要があります。例えば、自動車保険に入るというようなことです。今回のコロナウイルスについても、感染が発生した場合、経営者や個人の判断だけでサービスや事業を継続させることが難しくなるケースは十分に考えられます。このようなケースのリスク対策とは、リスク回避だけでは不十分で、実際に感染が起こってしまった場合の対策も考えておくことが必要なのではないでしょうか。

 今回のケースでいえば、実際にコロナウイルスが発生し、一定期間サービスや事業を停止せざる得なくなった場合のことを想定すると、例えば、感染発生時に取引先に迅速に連絡をする体制を整えることや、また、サービス再開に向けた、段取りを取引先の意向も考慮しながら柔軟に進めていくといった体制も必要となります。また、実際に、感染が発生した最悪の状況を想定しておくことで、逆に落ち着いて日々の営業活動を続けられますし、また、リスクが顕在化したときも慌てずに対応もできる一助になるのではないでしょうか。

(第76回: 2020/3/25)