リモートワークが上手く会社と上手くいかない会社
■リモートワークが上手くいかない会社とは
ここのところ、ご支援させていただいてる会社の方から、「リモートワークが始まって会社に来ることが少なくなりました」というお話をよく聞きます。リモートワークとは、社員が会社に集うことなく自宅などの遠隔地において、仕事をすることです。今回のような感染症だけでなく、地震などの災害によって、会社に来ることが難しくなる状況は起こり得ます。このようなときに、リモートワークができる体制にあるということは、会社を存続させるうえでもとても大切だと思います。
今回の感染症に関連して、早い段階からリモートワークをすることを発表したのは、GMOインターネット株式会社です。社員4,000名のリモートワークを開始して3週間後に、同社の熊谷社長は「業績がまったく落ちない」というコメントをツイッターで出しています。インターネットを専業としている会社であり、リモートで仕事をすることに対して、感度が高いということもあるのでしょうが、リモートワークが機能している会社の良い例だと思います。
他方、リモートワークを進めたくても進めることが出来ない会社もあるのではないでしょうか。例えば、工場に集まって、実際に作業をしなくてはいけない製造業においては、リモートワークを推進することは困難です。また、美容室や小売等の接客業も現地で顧客対応が必要なため、リモートワークを推進することは難しいでしょう。しかし、職場に集まる必要がない職種でもリモートワークが進まないケースもあるのではないでしょうか。
■テレワークを進めるポイントとは
今回は、リモートワークを実現できるはずなのに、リモートワークを推進できない原因について考えてみたいともいます。原因は、3つに集約されます。
①コミュニケーションツールの活用
まずは、コミュニケーションツールの活用状況です。ZoomやSkypeを活用することによって、インターネットが使える環境であれば、遠隔において動画を介してコミュニケーションが取れるようになります。このようなコミュニケーションツールがないと、会議をするときに、会議室に集まる必要がでてきますので、リモートワークを実現することは難しいです。ですから、インターネットを介したコミュニケーションツールを使いこなすことは、テレワークへの移行には重要です。
②タスク管理の仕組み
次は、タスク管理の仕組みがあるかということです。これは、大それたプロジェクト・マネジメントができるかどうかということではありません。一人一人の社員のやるべき仕事と、いつまでにその仕事を終わらせるかという期限が明確になっているかということです。その上で、上司の細かな指示が無くても、期限までに、やるべき仕事を終わらせることが出来ることが重要です。
③顔を合わせなくても仕事ができる文化
最後のポイントは、顔を合わせなくても仕事ができる文化があるかということです。オフィスに決まった時間に集まって、顔を合わせた状態でないと仕事ができないという社員ばかりでは、リモートワークを実行することが難しくなります。ですから、顔を合わせてなくても自宅や他の場所であっても職場と同じように仕事を進められる文化を醸成することが求められます。
以上の3つが、リモートワークを進めるためのポイントとなります。③のように文化を創り上げていくことは時間がかかります。しかし、①コミュケーションツールの活用や、②タスク管理の仕組みを作り上げることに対しては、今回の機会は、良い契機となるかもしれません。ゼロからリモートワークを実現するためには、期間を限定して、①ツールと②仕組みを試して、徐々に③文化を創り上げていくことをお勧めします。
(第74回: 2020/3/11)