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第56回: 全社的な生産性向上を成功させる2つのポイント

■全社的な生産性向上が難しい理由

 先日、クライアント先のご担当者から「業務を可視化してみて、自分の会社に効率化の余地がまだまだあることが良く分かりました」という言葉をいただきました。今回のご支援の内容は、営業社員が行っている仕事の中で、定型化している仕事を洗い出して、事務専任のパート社員に担っていただくというものです。このことで、当部門の営業社員を減らし、部全体の残業時間を減らしていくこと目指しています。

 この過程で、業務フローを用いた業務の可視化をしました。業務を可視化してみると、色々な観点で自分の会社の生産性を高めるためのアイデアが出てくるものです。例えば、紙で行っていた承認プロセスを電子化すること、営業部門と経理部門で二重管理している帳票の集約化、システムへの二重登録の一元化などが施策の候補として考えられました。

 しかし、今挙げたような施策を「経営層」ではなく「担当者層」が実行しようとするときに、二つの壁に突き当たります。一つ目が、担当者が上司の行っている承認プロセスを電子化する必要があると感じたときに、実行に移すには、上司を説得する必要があるということです。上司がその必要性をあまり感じていない場合、説得が困難であることは想像に難くありません。

 もう一つの壁は、自分の部門を超えて、他部門を説得する必要がある場合、一つの部門の担当者が部門横断的な課題に対応するということは非常に困難になります。なぜなら、社長からの指示であれば、当然従う必要がありますが、他の部門の担当者から自分たちの部門の仕事のやり方を変えるような話を持ち掛けられても中々聞く耳を持てないものです。

 もちろん、「担当者層」であるからと言って、絶対にこの二つの壁を乗り越えられないかというと、決してそんなことはありません。むしろ、例に挙げさせていただいクライアントのご担当者は非常に優秀且つ人間力もある方ですので、あの手この手で変革を進めることは可能です。

 しかし、一般的にいうと、「担当者層」がこの上司の説得と、他部門の説得という2つの大きな壁を乗り越えるのは、難しいというのが現実です。そもそも、「担当者層」からそのような提案が出てくること自体が稀ではないでしょうか。

■会社として2つの壁を乗り越える方法

 では、この二つの壁を乗り越えて、会社の生産性を高めていくためには、何をすれば良いのでしょうか?

 それは、会社の中に部門横断的な機能を作るということです。部門横断的な機能とは、製造部、営業部、経理部門、総務部といった部門を横串で見ることが出来る部門、もしくは担当者の事です。また、大切なことは、社長の直下にこの部門横断的な機能を作るということです。

 このような部門横断的な組織であれば、各部門の部門長とも意見交換がしやすくなります。また、異なる部門間の意見の集約や説得もしやすくなります。ですから、2つの大きな壁を乗り越えて、会社の生産性向上を現実のものとすることが出来るのです。

 しかし、当然ながら、このような部門横断的な機能を作るという判断は社長や経営層が行っていくことになります。ですから、担当者から生産性向上を目指すために、部門横断的な機能が必要だと感じた場合には、社長に相談することが、必要となります。相談の仕方やタイミングは、状況に応じて異なってきますので、一概にこうすれば良いとは言えません。但し、一つ言えることは、「担当者層」が全社的な生産性向上を進めるためには、2つの壁があるということと、それを乗り越えるためには、部門横断的な機能が必要なのだということを会社に理解してもらう必要があるということです。

(2019/11/6)