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デジタル化と業務変革

■デジタル化が上手くいかない理由

 ITツールを導入したものの上手く導入できない原因として、多くを占めるものの一つが、「ITツール導入は、業務変革である」ということが念頭にないということです。「ITツール導入は、業務変革である」ということが念頭にないと、現状の業務をあまり変革せずにITツールを導入しようという発想になりがちです。すると、必ず2つの問題に突き当たります。

 一つ目の問題は、コストがかかりすぎるということです。業務変革だという意識が少ないと、現在の業務を変えずに、そのままシステム化しようとしてしまいます。スクラッチで、ゼロから開発するにせよ、パッケージソフトに改修を加えるにせよ、現在の業務を変えないで開発しようとすると、開発工数が莫大なることが多いです。確かに、お金と時間をかければ、大体のことはシステム化できるものです。しかし、このようなアプローチでは、コストがかかり過ぎてしまいます。結果として、投資対効果に見合ったシステム導入ができなくなります。

 「業務変革の意識が低いデジタル化」が引き起こすもう一つの問題は、ツール導入後の業務を描くことができないということです。仮に、将来の業務を描かずに、現状の業務通りにITシステムを構築できたとします。しかし、現状の業務をそのままIT化したとしても、ITシステムによって業務が効率化されています。ですから、人が行う業務には、必ず変化が発生します。場合によっては、2人で行っていた仕事を1人で行えるようになるかもしれまん。すると、余剰の人材の配置転換をしなくてはならなくなります。スクラッチで現状の業務に合わせてシステムを構築しても、人が行う業務には必ず変更が発生するのです。投資対効果を狙って、パッケージのソフトを導入した場合には、なおさら業務の変更が発生するのはやむを得ません。ですから、業務変革するのだという意識がないデジタル化は、検討進めていく段階、もしくは、導入後に必ず現状業務とのギャップに直面するという問題につながります。

■デジタル化を成功させる業務変革とは

 では、デジタル化という業務変革を成功させるためにはどのようにすれば良い出のでしょうか?そのためには、ツール選定の前に必ず3つのステップを含める必要があります。

ステップ1: 現状の業務を可視化する

 業務変革やデジタル化の最も基本となるステップは、現状業務を可視化することです。現状業務を可視化してはじめて、どのように変革すべきかという問題や課題が組織として明らかになります。

ステップ2: デジタル化後の方針を決定する

 そして、次に何のためにデジタル化するのかという方針を定めることが重要です。この方針とは、「業務の生産性を高めたい」のか、「業務の品質を高めたい」のか、「コストを削減したい」のかといった何のために、デジタル化を進めるのかを決めるということです。この方針がないと、あるべき業務を定義することもできません。また、ツール選定するときの基準も曖昧となり正しい選択ができなくなります。

ステップ3: あるべき業務を定義する

 現状業務が明らかになり、方針が定まれば、あるべき業務を定義することができるようになります。あるべき業務を定義することで、ツール選定も適切に行えますし、導入後の人的な体制や教育といったことまでも、計画することが可能となり、デジタル化の定着化がはじめて見込めるようになります。

 以上のステップを踏まえたうえで、ツール選定を進めることで、自社に本当に必要なシステムを選定できる可能性が飛躍的に高まります。また、導入後にシステムが使えないという事態に陥る懸念も格段に低くなるはずです。

(第110回: 2020/11/25)