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システム導入後のコンティンジェンシー・プラン

■コンティンジェンシー・プランが必要な理由

 Go ToトラベルやGo Toイートの制度の見直しが行われることになっています。Go Toキャンペーンが、新型コロナウイルスの新規感染者数の増加の一因となっているのではないかとの指摘があり、制度の見直しになったようです。制度見直しの関係者は、非常に大変な作業となったのではないかと思います。宿のキャンセル料はどうするのか、継続する自治体と中断する自治体はどのように判断するのかといったことを迅速に決める必要があります。

 今回、Go ToトラベルやGo Toイートについては、感染者数が増加した際に、どのような対応をすべきかということについて、事前の計画が不十分であったのではないかと感じます。このような、失敗の可能性がある取り組みを進める場合には、コンティンジェンシー・プランを立てておくことが必要になります。今回のように、人の命にかかわることであれば、当然ながら最悪の事態を予想して、失敗したときの対応方針を検討しておくことが必要だったと思います。

 これは、会社においてITシステムを導入する場合も同様です。システム導入は、当然ながら効果を見込めるからこそ、導入を決断し、失敗しないように計画を立て、導入します。ですから、導入が失敗しないように最大限できることはやるべきです。しかし、失敗する可能性がゼロになることはありません。ですから、失敗したときの対応方針を決めておくということが極めて重要となります。そして、導入するITシステムが会社の経営上、重要な業務であれば、元の業務に戻す切り戻すなどのコンティンジェンシー・プランを立てておくことが重要となります。

■コンティンジェンシー・プランの進め方

 では、どのようにして、ITシステム導入のコンティンジェンシー・プランを立てれば良いのでしょうか?

コンティンジェンシー・プランには大きく3つのステップがあります。

①失敗の基準を決める

 どういう状態になったら、取り組みが失敗したのかを決めておくことが重要です。今回のGo ToトラベルやGo Toイートであれば、1日当たりの感染者数が何名になれば、制度を停止するというように基準を決めておくことが必要です。システム導入であれば、システム導入後に業務運営にどの程度支障をきたしたら、どのような対策を講じるのかの基準を決めておくことが必要となります。

②判断の方法を決める

 基準を決めておいても、最終的な意思決定を誰がどのように行うのかを決めておくことが必要です。やはり、最終的に責任者が決定をくださない限り、意思決定をすることができません。また、意思決定するためには、意思決定者に適切に情報を集めることが必要です。システム導入であれば、モニターする情報を決めておいて、決められたタイミングで情報が伝わるようにしておくことが必要です。また、意思決定のために、会議等が必要であれば、すみやかに会議開催できるように準備しておくことも必要となるかもしれません。

③対策を決める

 更に、基準ごとにどのような対策を講じるのかを決めておくことが必要です。システム導入であれば、明らかに新規導入したシステムに問題がある場合には、元のシステムに切り戻す対応が必要となります。そのために、元のシステムをどこまで残しておくのか、また、人的体制をどのように準備しておくのかを計画することが必要となります。

 以上がコンティンジェンシー・プランのステップとなります。やはり、重要な取り組みや業務であればあるほど、失敗させずに成功させたいものです。しかし、全ての取り組みが100%成功するということはあり得ません。ですから、新たな取り組みやシステムをローンチする場合には、悲観的にワーストケースを想定して対策を講じておくことが重要です。そこまで考えておくからこそ、前向きに新しい物事を進めていけるのだと思います。

(第111回: 2020/12/2)