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デジタル庁が必要な背景と目的

■デジタル庁が必要な背景

 菅新首相の肝いりでデジタル庁の設立が進められています。会社のデジタル化の参考になる部分もありますので、デジタル庁の設立の背景、目的、成功のポイントについて考えていきたい思います。まず、2020年9月時点の情報に基づいて、デジタル庁設立の理由・背景から考えていきたい思います。デジタル庁が必要な背景は3つあります。

 一つ目は、国連経済社会局が発表している電子政府ランキングにおいて、日本は2014年の6位から2020年の14位まで後退しています。これは、日本の政府の取り組みが進んでいないというよりも、上位国の取り組みに比較して日本政府の取り組みのスピードが遅いため、結果としてランキングが後退してしまっていると考えられます。

 デジタル庁設立の二つ目の理由は、マイナンバーが普及していないということです。2020年3月時点でマイナンバーの普及率は15.5%となっています。更に、コロナウイルスのために全国民に10万円を給付する際にも、マイナンバーを活用したオンライン申請では遅延が発生しました。これは、マイナンバーの情報のうち、氏名や住所等の情報を行政機関から自治体へ情報連携することが法律で禁止されていることにも起因しています。

 デジタル庁設立の背景の3つ目は、省庁ごとの縦割り行政が非効率性を生み出しているということです。各省庁で個別にシステムを調達しており、データベースの項目の統一がなされていないため、組織を跨いだデータ活用やプラットフォーム構築が困難となっているとのことです。結果として、システム投資の重複やムダなオペレーションにつながっていると考えられます。 

■何が変わるか

 では、デジタル庁によって何が変わるのでしょうか?先ほどの電子政府ランキングで1位になっているデンマークにおいては、下記のような取り組みがなされています。

   2001年:デジタル署名
   2004年:電子決済
   2007年:市民ポータル
   2011年:国政選挙の電子投票
   2016年:不動産の登記
        企業情報の提供

 このように、デジタル庁を設立する目的は、行政サービスを電子化することによって、行政サービスの利便性を高め、更に行政のオペレーションの効率化の促進させることと捉えることができるのではないでしょうか。

■何をすべきか?

 次に、デジタル庁を設立して、電子政府の度合いを高めていくためには、何をすべきなのでしょうか?電子政府の推進には4つのポイントがあると言われています。

  ①インターネット環境
  ②スマホなどのデバイスの普及
  ③デジタルID(マイナンバー)
  ④デジタルサービス

 これらの4つのポイントのうち、①と②については、既に日本でも十分に普及しています。しかし、③のマイナンバーは普及率15.5%と普及が進んでいないうえに、マイナンバー情報の行政機関と自治体の連携も法律で禁止されています。ですから、法改正も含めてマイナンバーを普及させるということがまず必要となります。その上で、各種のデジタルサービスを提供していくことになると思われます。

■成功のポイント

 最後にデジタル庁の成功のポイントについて、3つあげたいと思います。一つ目は、ロードマップを描くことです。数年のスパンで実現していくことを明らかにすることが必要です。そして、そのために、具体的に何をやらなくてはいけないのかを示すことが必要です。

 成功のポイントの二つ目は、人選です。電子政府を推進するためには、省庁を横断的に改革する必要があります。利害が相反する組織を一つの方向に向けるためには、やはり求心力のある人・組織が取り組みを率いていく必要があります。電子政府ランキング1位のデンマークにおいては、比較的に力を持っているとされる財務省が主導して、取り組みを進めた言われています。

 成功のポイントの三つ目は、短期間で小さな成果をあげるということです。目に見える成果を実感することで、関係者や国民がデジタル庁の取り組みの意義を感じることができるようになります。そのことで、デジタル庁を後押しする世論が形成されれば、他の施策を進めるハードルが下がることに繋がり、改革が前に進みやすくなることが期待できます。

(第102回: 2020/9/30)