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デジタル化と業務改善(BPR)

■デジタル化と業務改善(BPR)の関係

 デジタル化を進めようとするときに忘れがちなことは、デジタル化とは会社の業務を変革することに他ならないということです。ITツールを導入するだけで、会社の業務の品質や生産性が高まるというものではありません。デジタル化には必ず業務変革すなわちBPR(Business Process Re-engineering)が伴うということを念頭に入れる必要があります。このBPRの観点が抜け落ちていると、高い確率でITツールを導入してみたものの殆ど使われないとか、会社の業務にフィットしないというような事態に陥ります。

■業務改善(BPR)の5ステップ

 では、BPRはどのように進めれば良いのでしょうか?今回は、BPRの進め方の5つのステップをご紹介します。

①現状業務の可視化

 BPRの最初のステップは、業務プロセスを見える化することです。現状のプロセスが可視化されていなければ、課題がどこにありどのように改善をすれば良いのか検討することすらできません。ですから、まずプロセスを見える化するということが、BPRの最初の1歩となります。プロセスを見える化していく際には、業務フローと業務一覧を作成し、一つ一つの業務プロセスを明らかにしていきます。

②課題の洗い出し

 BPRの2つ目のステップは、見える化された業務プロセスの一つ一つに対して課題がないかということを検証していきます。課題を洗い出す際の観点については、いろいろ考えられますが、QCD(Quality, Cost, Delivery)はシンプル、且つ必要な観点が盛り込まれています。つまり、品質、コスト、納期面で課題かないということを検討していくということです。

③あるべき業務の定義

 BPRの3つ目のステップは、洗い出された課題に対する対応方針(施策)を明確にしていくことです。対応方針(施策)を検討する際の観点としては、ECRSをお勧めします。ECRSによって、各々の業務プロセスにおいて、Eliminate(削除)、 Combine(統合)、 Rearrange(置き換え)、 Simplify(簡素化)できる要素が無いか、先入観なく検討することが可能になります。このようにして対応方針が定まれば、あるべき業務が明らかになります。

④優先順位付け

 4つ目のステップは、施策の優先順位を定めることです。そのために、業務プロセスと施策を定量化していくことが必要です。定量化においては、業務一覧における各プロセスに対して、「1回あたりの業務時間×頻度」を試算して求める方法が一般的です。各施策の効果を定量化することで、取組全体の効果を把握できるだけでなく、施策実行の優先順位を付けが行いやすくなります。

⑤施策の実行

 BPRの最後のステップとして、施策を実行に移していきます。施策を実行に移す際には、優先度の高い施策から実行に移していくことが大切となります。限られたリソースで一度に手を付けられる範囲は自ずと限界があり、すべての施策を一度に実行しようとすると、逆に改革が思うように進まなくなるためです。また、優先順位の高い施策に絞って実行し、効果を実際にあげることで、組織のメンバーのモチベーションが高まり、他の施策の実行に弾みがつくことも期待できます。

 以上がBPRの5つのステップとなります。なお、これらのステップは、主に業務プロセスの効率化について論じられており、IT活用による効率化の観点が抜け落ちているように感じるかもしれません。IT活用による効率化については、「③あるべき業務の定義」において施策を洗い出す際に手段の一つとして検討されるべきものです。業務プロセス自体が可視化され、課題が明確になってからこそ、ITをどこに活用すれば良いかが明らかになるのです。

(第101回: 2020/9/23)