テクノロジー活用(DX)が進まない原因
■テクノロジー活用の難しさ
テクノロジーを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)や新しい取り組みが進まないということに問題意識を持たれている会社は本当に多くあります。そして、取り組みが前に進まない原因というのは、実は多くの会社において共通しています。その原因というのは、次の5つに集約されていきます。
①ビジョン・目的の欠如
②IT化手法が不適切
③推進力を担保する仕組みの欠如
④人選が不適切
⑤教育が不十分
■テクノロジー活用が進まない共通原因
①ビジョン・目的の欠如
自動化、DX推進、業務変革に対するビジョン・目的が欠如していると、その取り組みが成功する確率は著しく低くなります。ここでいうビジョンとは、「テクノロジーを活用して、会社をどの様に発展させたいのか」、「将来のデジタル化による環境変化に備えてどの様に対応しようとしているか」ということです。そして、目的とは、「ビジョンを実現するために、具体的に何をやろうとしているのか」、「目的達成の優先順位は出来ているのか」ということです。
ビジョン・目的が重要だということは分かっていても、案外とビジョン・目的が無くて走り始めてしまっている場合が多いことも事実です。つまり、AIを使って何かできないか、ブロックチェーンを使って何かできないかという、手段から入るとITツールの導入が目的化してしまうのです。すると高い確率で投資は無駄になります。まずは、こうしたい、こうすべきだというビジョン・目的を何よりも優先して設定すべきです。
②IT化手法が不適切
ITツール活用の手法が不十分なケースも、失敗の原因として良く見受けられるものです。特に問題となるのは、要件の洗い出しが不十分というものです。要件が不十分であると、RFP(提案依頼書)を適切に書けませんから、システム会社の選定も適切に行えません。「システム会社に依頼をすれば、何とかなるだろう」という受け身の姿勢でいると、IT化が失敗する確率は極めて高くなります。
③推進力を担保する仕組みの欠如
次にDXや新しい取り組みが進まない原因は、これらの取り組みが日常業務の延長線上に無い「非定常的」な業務であるということと、ときに部門を跨がる「部門横断的」な業務であるためです。ですから、これらの取り組みを前に進めるためには、会社の中に適切な仕組みを持っておく必要があるのですが、その仕組みが無いために、推進力が弱くなるのです。
④人選が不適切
目的や手法がしっかりと確立されて、仕組みを作っていても、担当する人員のスキルがマッチしていない場合や、経験が不足している場合にもやはり、取り組み失敗の原因になります。特に、関係者や関係部門を巻き込む力がない人員が選ばれた場合、取り組みを前に進めることは非常に難しくなります。
⑤教育が不十分
最後の原因は、教育が不十分であるということです。ここでいう教育とは、業務変革によって業務プロセスが変わる場合や、システムを導入した場合に必要となるものです。新しい業務プロセスやシステムを作っても、それに対応する必要がある社員に対して、適切な教育をしていないと、新ししシステムや業務が定着せずに、投資が無駄になってしまうことになります。
以上の5つがDXや新しい取り組みが進まなくなる原因です。もし、あなたの会社において、同じような取り組みをされていて、思うように推進が出来ずに困っている場合には、上記の5つの中のどこに問題があるのか見直してみてはいかがでしょうか。原因が分かれば、対策も見えてくるのではないでしょうか。原因と対策についてご相談したい場合には、お気軽にお問合せ下さい。
(第72回: 2020/2/26)