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■システム開発が場当たり的になってしまう理由

 ご支援させいただいている企業から「システム開発が場当たり的になってしまいます」とのご相談をいただきました。どういうことかというと、会社の基盤となるシステムについて、問題が発生したときに、現場から追加開発の依頼があり、都度、個別に対応することで開発費用がかさんでしまっているとのことです。また、将来のシステムの改修計画も定まっておらず、無駄な投資となっている懸念もあるようです。

 このようなお話は、既存のシステムに対する運用や改修の現場で、非常に良く起こりがちなものではあります。原因はシステム開発に対する、タテとヨコの糸がしっかりと張られていないために起こります。

 タテの糸とは、課題検討レベルの事です。課題検討レベルとは、課題を扱う視点やレイヤーと言い換えることが出来ます。担当社員が捉えている課題と、社長が捉えている課題は、対象や内容が異なるということは納得できることかと思います。そして、担当社員が抱えている課題の詳細な内容というものは、社長が把握できていない場合があります。また、その逆に、社長が抱えている課題に対応すれば、現在社員が抱えている課題が消滅してしまうこともあります。例えば、担当社員がAという製品の改良を目下の課題として取り組んでいたとします。しかし、社長としては、製品の刷新をする必要を感じており、製品Aについては、製造数量を減らすことを検討してた場合、担当社員の課題、製品Aの改良は、場合によっては必要がないことかもしれません。このように、課題検討レベルを上げるあるいは下げることで課題の捉え方が全く変わる可能性があるということです。ですから、システム開発においても、課題検討レベルをしっかりと把握しておかなければ、課題設定の意味がなくなってしまうのです。

 ヨコの糸とは、時系列のことです。システム開発において、やらなければならないことが明らかになっていたとしても、「いつ」やるのかが明らかになっていないと混乱することがあります。つまり、会社のビジョン・戦略から基盤システムの改修をすることが必要であると認めれている場合でも、「いつ」やるかが決まっていないとどうなるでしょうか。基盤システムについて、日々の仕事において、問題が発生しており、業務効率化のためにも早急に改修したいというようなニーズがある場合に、対応の可否判断ができないということなってしまいます。なぜかというと、基盤システムの改修のタイミングが明らかになっていないため、現在の問題がいつまで続くのか分からないためです。そのため、基盤システム改修のタイミングまで待つべきか、早急に対処すべきかを正しく判断できなくなるのです。

 このように、タテの糸とヨコの糸が、しっかりと張られていないことが、システム開発が場当たり的になってしまう原因となります。

■場当たり的なシステム開発を避けるために

 では、場当たり的なシステム開発を避けて、タテの糸とヨコの糸をしっかりと張るためには、何をすれば良いのでしょうか?

 まず、タテの糸である課題検討レベルを適切に定めるために必要ことは、ビジョン・戦略から、会社にとって必要なソリューションは何ということをはっきりと定めることが第一歩となります。つまり、はじめは課題検討レベルを経営層の視点にして、トップダウンで大方針を示す必要があるのです。そのうえで、システムの目的、スコープ、予算が大枠定まってから、個別具体的な課題検討レベルへと下げていきます。この順序を間違えると、つまり、課題検討レベルを担当者の視点から、ボトムアップに検討していくと、会社にとって不要且つ、投資額が膨大なシステムになってしまう懸念が常にあります。

 次に、ヨコの糸である時系列を最適化するためには、システム開発のロードマップを描くことが必要となります。会社の中で、導入が必要な領域を明らかにして、必要なシステムをどのタイミングで実際に導入しきるのかという大まかなスケジュール表を作り、社内に周知しておくことが求められます。

 以上が、場当たり的なシステム開発を避けるための、タテとヨコの糸の適切な張り方となります。

(第71回: 2020/2/19)