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■オリンピック後の景気はどうなるのか?

 2020~30年の10年間は、AI、IoTを始めとした「テクノロジーの発展」、インド、東南アジアといった国々を中心とした「アジアの国々の台頭」、そして、一つの会社に長く勤めるという雇用形態が崩壊し「人材の流動化」が加速していくことが顕著となっていくと考えています。

 2020年代の最初の一年である2020年は、日本にとっては、東京オリンピックが開催されることもあり、将来振り返った時に、エポックメイキングな一年となる可能性もあるのかもしれません。特に、オリンピック後に経済や景気の潮目が変わるのではということをいう方たちもいます。個人的には、日本のような成熟社会において、短期間で経済の状態が本質的に変わることはあまりないと感じています。しかし、景気は人の気持ちで動くものですので、オリンピック後に何かしらの景気の変動はあるのかもしれません。

 とは言いましても、景気の良し悪しは、自分たちでコントロールできるものではなく、あまり気にして、取り越し苦労をしてみたところで、良いことは一つもありません。大切なことは、自分たちがコントロール出来ることに意識を集中することです。つまり、本業に打ち込んで、少しでも顧客に喜ばれるにはどうしたら良いか、コストを適正化するにはどうしたら良いかという当たり前の事をしっかりと行うことが大切なのだと思います。その上で、グーグルのように2割程度の余力を残し、時代の変化に沿った新しい取り組みを進めることが大切となります。

■2020年注目の4つの経営ワード

 特に生産性向上に関連して、2020年に新しい取り組みを検討するときに、弊社で注目している4つの経営ワードについてご紹介したいと思います。

①中小企業の残業規制(2020年4月から)

 大企業だけでなく、2020年4月から中小企業の残業規制が開始されます。規制開始後は、残業時間は下記のように制限されます。

・年間720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
(月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当)
・月100時間未満(休日労働を含む)
・原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月まで

 上記を違反した場合には、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。残業規制に対応するためには、業務効率化や勤怠管理の是正をすることが求められます。

②5G

 5Gは次世代モバイル通信規格で、それまでの4Gの約100倍の通信速度になるとも言われており、「高速・大容量」や「リアルタイム性」が特徴となっています。大手通信キャリアが2020年から開始する予定となっていますが、当面は対応機種が限られることから、完全な普及には数年程度を要するともいわれています。

 5Gが普及することによって、以下のようなことが期待されています。

・建設機械やクルマを遠隔操作することが可能となり、熟練作業者、運転手の不足への対応
・大量のセンサーを同時接続することによる稼働停止時間を抑制したスマート工場の実現
・ネットワークに接続された医療機器による高度な遠隔診療の実現 等

③Explainable AI(説明可能なAI)

 現在のAIは機械学習して結論を提示しますが、学習の過程がブラックボックス化されており、なぜ、そのような結論に至ったのかが分かりません。そのことが、AIの実用化の足枷になっていることがあります。例えば、人事において従業員の昇格する・しないをAIの結論にゆだねた場合に、結論に至る過程が全くのブラックボックスだとすると、その結論を採用することは非常に困難になります。

 Explainable AI(説明可能なAI)では、機械学習して結論に至った理由をユーザーに説明することが可能になります。例えば、金融機関においてAIが融資の承認可否の結論を出した場合に、過去の返済状況や口座残高を重視していたというような、理由を説明することが可能になります。Explainable AIによって、AI導入が進む領域が広がる可能性があるのではないかと思います。

④SDGs

 SDGs(Sustainable Development Goals)は、国連によって採択されたものです。2030年までに国際社会が持続可能な社会を実現するための重要な指針として、17のゴールを設定しています。2016年から、ユニリーバ、サントリー、すかいらーくグループといった大手企業を中心に、取り組みが進められています。金融機関においても、投資対象として、SDGsを重視する取り組みが広がってきています。

 中小企業においては、特にSDGsを重視している大企業のサプライチェーン上にある場合には、事業内容や提供する製品・サービスを変更することを求められる場合もあるかもしれません。また、受動的な対応だけでなく、中小企業にとっても社員のモチベーションを高めることや、新たなビジネスチャンスを創出するという意味合いでも、ポジティブな側面を期待できるかもしれません。

 以上が、2020年に生産性向上を検討する際に抑えておきたい4つの経営ワードになります。中小企業の残業規制などは、喫緊で対応を求められる場合もあるかもしれません。弊社にも、業務効率を高めて残業を減らしたいという企業からのご相談をいただいております。何かお困りの際には、お気軽にご相談ください。

(第65回: 2020/1/8)