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サービス・プロフィット・チェーン

■サービス・プロフィット・チェーンとは?
サービス・プロフィット・チェーンとは、1994年にハーバード・ビジネススクールのへスケット教授が提唱したフレームワークで、サービス提供には顧客満足だけでなく、従業員満足が重要であることを示しました。

上の図がサービス・プロフィット・チェーンのフレームワークを表しております。全体の流れとして、①〜③は企業内のサービス品質、④はその結果としての顧客サービス品質、⑤〜⑥は顧客が受ける価値、⑦が財務結果を表しています。順番に一つ一つの項目について、考えてみたいと思います。

①:企業内サービス品質
企業内サービス品質とは、従業員満足を高めるために顧客ではなく従業員に対するサービス品質を高めることを意味しています。企業内サービス品質を高めるための観点として以下のような項目があります。

-職場環境のデザイン
-仕事のデザイン
-従業員の採用と教育
-従業員の報償と評価
-顧客サービスを向上させるツール

②:従業員満足
従業員満足とは、従業員が企業で働くことの満足度を表しています。①の企業内サービス品質の各項目について内容を精査のうえ施策を検討し、従業員満足を高めていくことを目指します。

③-1: 従業員ロイヤリティー
従業員満が高まった結果として、従業員ロイヤリティーが高まっていきます。従業員ロイヤリティーが高まることによって、従業員の勤続期間が長くなることやモラルが向上していくことなどが期待できるかもしれません。

③-2 :従業員の生産性
従業員満足が高まったもう一つの結果として、従業員の生産性が高まっていきます。従業員の生産性が高まることによって、効率的に顧客に提供するサービス品質を向上させることが可能となります。

④:顧客サービスの価値
従業員ロイヤリティーと従業員の生産性が高まることによって、顧客サービスの価値が向上していきます。

⑤:顧客満足
顧客サービスの価値が高まることによって、顧客満足が向上していきます。顧客満足を高める際に併せて重要になることが、ターゲット顧客のニーズを満たすサービスのデザインがなされていることです。また、顧客満足が高まることにより、②の従業員満足も高まるという正の循環を期待することもできます。

⑥:顧客のロイヤリティー
顧客満足が向上することによって、顧客のロイヤリティーが高まります。顧客のロイヤリティーが高まることによって、リピート率、継続利用率、口コミ数 等が向上することが期待できます。

⑦-1: 売上成長
顧客のロイヤリティーが高まった結果として、売上の成長を期待できます。

⑦-2 :収益性
顧客のロイヤリティーが高まったもう一つの結果として、収益性の高まりも期待できます。収益性が高まることによって、①の企業内サービス品質の更なる向上への投資源となり、正の循環が回っていくことも併せて期待できます。

このように、企業内サービス品質を高め、従業員満足を向上させるということを起点として、①〜⑦の正の循環を喚起することがサービス・プロフィット・チェーンの基本的なアイデアです。昨今、取りざたされているブラック企業の姿勢とは相反する姿勢と言えるのかもしれません。また、当フレームワークは供給と需要が同時に起こるサービス業において有効とされていますが、製造業においても参考にできる部分があるのではないでしょうか。

[参考文献]
Heskett JL, Jones TO, Loveman GW, et al. (1994). Putting the service-profit chain to work. Harvard Business Review.