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■戦略立案が行き詰まる理由

 とある企業の部門長から「部門戦略の立案の手伝いをしてくれませんか」というご依頼をいただきました。なんでも、次年度が中期経営計画の最終年度にあたるため、新しい中期経営計画に沿った部門戦略を立案したいということだそうです。

 戦略立案というのは、会社の規模や状況によって、その方法が異なります。極端な例では、起業したばかりの会社においては、精緻な戦略を立てるよりも売上目標の大枠を設けて、出来ることに素早く着手し、問題があれば修正するということを高速で繰り返すことが求めれます。そのような状況においては、何年も先の計画をじっくりと立てていても、状況が変わってしまえば、計画が無意味化してしまうことが多くなります。

他方、今回のケースのように、比較的に規模が大きな会社になってきて、株主、銀行、経営陣といったステークホルダーへの説明が求められるようなケースでは、戦略を立案し、しっかりと計画書に落とし込むことが求められることが多くなります。

 今回は、後者のケースに当てはまり、戦略を立案したうえで、事業計画書への落とし込みが必要となっています。ただ、事業計画を白紙の状態から考えるときに、立ち往生してしまうことや、遠回りをしてしまうことがあります。今回のケースもどう進めるかということで攻めあぐねていたようです。

■戦略立案において必要なこと

 では、どのように戦略立案を進めれば良いのでしょうか?

 大切なことは、まず組織のトップが「仮説」を立てるということです。ここでいう、「仮説」とは、ある程度、外部環境、および内部環境の状況と課題を把握したうえで、会社をこういう方向に進めるのだという仮の答えは出すということです。そして、この時に大切なことは、トップの「勘」に基づいて「仮説」を立てるという事です。

 なぜ、「仮説」を立てなくてはいけないのかというと、「仮説」が無ければ「分析」の意味をなさないからです。例えば、マーケットが変化してきているから、マーケットに対応できるように新しいサービスを作ることが必要だという、「仮説」があったとします。そうすることで、初めてマーケットは本当に変化しているのか、変化しているのだとするとどのように変化しているのかという分析が可能になるのです。また、マーケットの変化を正確に把握していればこそ、どのようなサービスが求められるかということも正確に検討できます。

 ですから、まず「仮説」を立てるということが初めのスッテプとなります。そして、「仮説」を立てるときには、トップの「勘」を大切にするべきだと考えています。当然ながら、経営数字を正しく把握し、会社を取り巻く環境やトレンドを常にウォッチしているということが前提となります。その上でのトップの「勘」を大切にするべきです。

 AIが人間を凌駕するということが盛んに言われています。確かに、現在のディープラーニングを用いたAIは、特定の認識作用の領域において、人間をはるかに凌駕しているケースも出てきています。例えば、皮膚癌の診断は専門医の診断を超えるような高精度の実験結果も出てきています。しかし、経営判断のように、変数が非常に多く、そして、常に環境が変化し続ける状態においては、人間の全体感を持った「ひらめき」や「勘」の方がAIよりも正しいという状況は、中々覆られないのではないかと感じています。

 ですから、戦略立案の際には、まず、トップがある程度、外部・内部環境を把握した前提で、「勘」で「仮説」を立てることが必要です。その上で、「仮説」が本当に正しいかの検証をするために、しっかりと「分析」を行います。この「分析」を行うことによって、「仮説」が間違っていれば、修正もできます。また、ステークホルダーに対しても納得感のある説明やプレゼンも可能になるのです。

(2019/12/25)