日本にデジタルトランスフォーメーション(DX)は根付くのか

■DX推進のボトルネックとなるもの
近年、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation(以下DX))という言葉が使われるようになってきています。DXについて、経産省の「DX 推進ガイドライン」では下記のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
確かに、これから多くの企業にとって、テクノロジーの活用は避けては通れないことは間違いありません。しかし、DXを推進するというのは、一筋縄ではいきません。先日もAI開発を受託している会社トップから、「日本には、DXを根付かせるのは難しいですね」との正直な言葉が漏れました。
おそらく、AI開発を受託している日本企業と仕事をしていく中で、仕事を進めることの難しさを感じられているのだと思います。何が、日本におけるDX推進を難しくしているのかというと、大きく3つの原因があります。
一つ目は、「ビジョン/戦略が欠如している」ということです。テクノロジーを使って、会社をどのように変えていきたいのか、という将来像無しに進めてしまうと当然ながらDXは失敗してしまいます。このように書くと当たり前のことなのですが、ビジョン/戦略ないしに、AIやIoTありきでDXを推進して失敗するということは、実際に起こり得ます。
二つ目は、「DXの本質は業務変革」だという理解がなされていないとうことです。単純にテクノロジーを使えば仕事が便利になるということではないということです。そもそも、既存の仕事のやり方が大きく変わったり、無くなったりということが発生するということを理解する必要があります。
三つ目は、「仕事がなくなるのではという恐れ」が生じてしまうということです。AIやIoTに仕事を奪われてしまうのではないかという恐れがあると、社員から前向きな協力を得ることが難しくなります。結果として、取り組みが失敗してしまうことになります。
■DXを成功させるポイント
以上のような原因を考えたとき、DXを成功させるポイントは下記の3点に集約されます。
・経営トップのビジョンを明確にする
まず、テクノロジーを活用して、会社をどのように変えていきたいのかということを明らかにする必要があります。それには、経営トップがしっかりと、テクノロジーを活用した会社の将来像を描く必要があります。
・ビジネスとITを把握している旗振り役を置く
DXを推進するためには、テクノロジーに詳しい人材が必要です。しかし、テクノロジーだけでは不十分で、会社の将来像に近づくためにも、ビジネス面にも精通している必要があります。このビジネス、IT双方に詳しい人材が旗振り役となって、業務変革を推進してくと言うことが極めて重要となります。
・配置転換を実現する
また、前向きにDXを進めるためには、テクノロジーに仕事を奪われるのではないかという恐れをなくすことが重要です。そのためには、テクノロジーで代替される仕事に従事している人材に新しい仕事を用意して、周知するということが、求められます。そうすることで、社員の理解が得られ前向きなDXが可能になります。
以上がDXを実際に進めようとするときに重要となってくる3つのポイントです。弊社では、この3つのポイントを押さえながら、テクノロジーを活用した経営変革のご支援をしておりますので、お気軽にお問合せください。
(第61回: 2019/12/11)