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グループ子会社を多く抱えるような大企業と比較して、中堅企業や中小企業においてはマネジメント人材を輩出することが困難です。

その理由は、①人的余裕がない、②マネジメントポジションが少ない、③育成機会が少ないということがあげられます。

一つ目の人的余裕がないということに関しては、多くを語るまでもないことだと思いますが、大企業は新卒採用、中途採用を含めて優秀な人材を多く採用することが可能です。その中には、将来のマネジメント候補となるような人材も含まれています。他方、中堅、中小企業においては、そのように多くの人材を採用することがそもそも困難です。そのため、いざマネジメント人材を育成しようとしても、ヒトが足りない、マネジメント人材になれる素養を持った人材がいないという事態に陥ります。また、外部からマネジメント人材を採用することは内部から育成することと同じか、それ以上に困難です。

二つ目に、大企業にはマネジメントをする機会やポジションが多くあります。例えば、子会社のマネジメントポジションもあれば、大規模なプロジェクトのマネジメントポジションもあります、また本社にも部門や階層が多くあり、各々にマネジメントポジションが存在してます。他方、中堅・中小企業においては、大企業のようなマネジメントの機会やポジションが多くありません。

三つ目は、大企業、例えば巨大コングロマリットであるGEが、本社CEOを選定・育成するためのプログラムによってジャック・ウェルチのような有能なCEOを輩出しているように、大企業には、マネジメント人材を育成する機会も余裕もあります。他方、中堅・中小企業では、マネジメントのポジションが少ないことから、マネジメント人材を育成するための機会も当然少なく、育成するための仕組みも整備されておりません。

このように、中堅・中小企業ではマネジメント人材を育成することがとても難しい状況にあり、また、外部からのマネジメント人材採用も難しいため、企業の成長に合わせてマネジメント人材を増やすことに問題意識を持たれている場合が多いのです。

業務自動化の仕組みは、マネジメント人材の育成にも貢献する部分があります。特に、マネジメント人材を輩出することが困難の理由の三つ目にあたる「育成機会が少ない」ことに対する一つの解となります。

業務自動化の仕組みを構築する際には、自動化推進室と呼ばれる自動化を推進する組織を立ち上げます。この組織は、業務自動化を推進するために経営幹部の意向に基づいて関係者をマネジメントしていきます。また、複数部門が関わる課題に対しても、関連部署とコミュニケーションを図りつつ対応していくことが必要なります。

このように、プロジェクト管理スキルや他部門との折衝能力のようなマネジメント人材にとって必要な、普段の業務では養えないスキルを業務自動化推進室の担当者は習得していくことなります。将来のマネジメント人材候補者に、業務自動化推進室を経験してもらい、必要なスキルを習得させるということはマネジメント人材育成において効果的に働きます。

(第8回:  2018/12/5)