破壊的イノベータの5つのスキル(①関連づける力)
「イノベーションのDNA」で破壊的イノベータが共通して持っていることが多いとされる5つのスキルの中の一つである「関連づける力」と「関連づける力」を身につけるヒントについて考えてみたいと思います。
①関連づける力
②質問力
③観察力
④ネットワーク力
⑤実験力
■関連づける力とは?
我々は、創造性やイノベーションは、全く新しいアイデアを着想しているのだと勘違いをしがちですが、実は既にあるアイデアを関連づけていることが多いようです。相対性理論を生み出したアインシュタインも創造的思考を「組み合わせの遊び」と呼んでいたそうですし、スティーブ・ジョブス氏も有名なスタンフォード大学のスピーチで「点を繋ぐ」ことの大切さを述べています。ジョブス氏の関連づける力を物語るエピソードとしてカリグラフィーの話があります。ジョブス氏は、色々な事情により大学を中退することになるのですが、その時にモグリで好きな授業を受けることにしました。自分の意思で受けた授業の中の一つに文字の形をデザインするカリグラフィーの授業がありました。このカリグラフィーの知識が何年も経ってパーソナル・コンピュータの文字の形をデザインする際に役に立ったというのは有名な話です。これも、カリグラフィーとパーソナル・コンピュータの文字という点と点を関連づける力を発揮した例といえるのではないでしょうか。
■関連づける力を身につけるヒント
関連づける力を伸ばすヒントとして以下のような考え方をあげています。
新しい関連づけを強制する
ソフトバンク社の孫正義氏は、忙しい留学時代に短い時間(5分程度)を捻出して、事業アイデアを考える時間を設けていたそうです。その時に行っていたことの一つとして、カードにアイデアを書いてストックしておき、ランダムにカードを選びアイデアを組み合わせ創造的なアイデアとならないか試みたそうです。結果生まれた「音声付き電子翻訳機」をシャープに1億円で売却することに成功したといわれています。
別の会社になりすます
企業内で新しいアイデアを検討する際に、グーグル社やアップル社など他のイノベーティブな企業になったつもりでディスカッションやブレインストーミングをすることを意味しています。このことにより、新しい視点で問題・課題を捉えられる効果があるのかもしれません。
たとえを考える
自社の製品やサービスを他の何かたとえてみることを勧めています。
おもしろ箱をつくる
変わった玩具や旅先で見つけた民芸品など面白いものを集め箱や袋などにストックしておくことを勧めています。そのことで、ビジネスにおいても新しい発想が生まれるきっかけになるのかもしれません。
スキャンパー(SCAMPER)
現在取り組んでいる問題・課題に対して新しい洞察を得るためにスキャンパー(SCAMPER)という考え方が紹介されています。スキャンパーは、下記の観点の頭文字から作られた造語です。
代用(Substitute)
結合(Combine)
応用(Adapt)
拡大・縮小・変更(Magnify/Minimize/Modify)
転用(Put to other uses)
除去(Eliminate)
逆転・並び替え(Reverse/Rearrange)
[参考文献]
クレイトン・クリステンセン. ジェフリー・ダイアー. ハル・グレガーセン(著). 櫻井裕子(訳). (2012). イノベーションのDNA. . 株式会社 翔泳社.