クラウドファンディング②(5つのタイプ)
■クラウドファンディングの5つタイプとは
クラウドファンディングにも複数のタイプがあり、それぞれ特徴が異なります。最も大きな違いは、出資金の返還の有無です。
下表の中で、①購入型、②寄付型は、非投資型であり、出資資金の返還はありません。
他方、③融資型・貸付型、④ファンド型、⑤株式型は、投資型であるため、出資金の返還や配当等金銭的なリターンが発生します。
出所:税所哲郎. (2016). マッチング・ビジネスが変える企業戦略.に基づき作成
これらのクラウドファンディングの5つタイプについて、概要をみていきたいと思います。
①購入型
購入型では事業者がプロジェクトやイベントへの出資者を募ることを目的としています。原則的に出資金の返還はなく、出資者は事業者から出資金額に応じた商品/サービスなどを市場に出回る前に入手することができるというメリットがあります。
ただし、出資者が受ける商品/サービスが出資金額と比較して経済的対価が必ずしも見合っているわけではありません。
あくまでも、出資者が事業者のプロジェクトや商品・サービスに共感し、応援したいと感じることが出資の動機となります。
なお、クラウドファンディング運営会社への調達手数料は、調達金額の10%~20%が相場となっています。
②寄付型
寄付型のクラウドファンディングでは、地方公共団体、社会福祉法人、学校法人、医療法人、NPO法人等の事業者が運営する社会福祉活動に対して、クラウドファンディング・プラットフォームを介して出資者から寄付を募ります。
寄付であるため、出資金の返還は行われません。また、クラウドファンディング運営会社への調達手数料は、調達金額の10%程度となっています。
③融資型・貸付型
インターネット上のクラウドファンディング・プラットフォームを介して、出資者から少額の資金を集めて、事業者に対して融資(貸付)を行います。
出資者は、出資の対価として利息などを受け取ることになります。また、出資者からは、借手である事業者の個々のプロジェクト・事業内容は見えなくなっており、プロジェクト・事業の種類や信用度によってグルーピングされた分類に対して出資を行います。
クラウドファンディング運営会社は、第二種金融商品取引業の登録、または第二種少額電子募集取扱業、および貸金業登録の免許が必要となります。
④ファンド型
インターネット上のクラウドファンディング・プラットフォームを介して、特定のプロジェクトに対して出資者を募ります。出資者は、プロジェクトの概要・計画に基づいて出資の判断をします。なお、ファンド型の場合には、新規プロジェクトやリスクの高いプロジェクトの資金調達を目的としています。
出資者は、出資先の事業の収益に応じて、配当金や株式を受け取ることになります。金銭的な対価のほかにも、商品・生産物・サービスを受けとる場合もあります。
クラウドファンディング運営会社への調達手数料は、年2%程度となっています。
⑤株式型
株式型では、非上場の企業そのものに対して出資者を募ります。従来は、ベンチャー・キャピタルのような組織が行っていた専門性が高いベンチャー投資を、インターネット上のプラットフォームを介して個人が担います。
出資者は、事業者の業績・出資額に応じて配当を受けられる可能性があります。また、株式売却による出資金の回収においては、出資先のベンチャー企業が株式上場をするような場合には、大きな利益を獲得する可能性もあります。
■まとめ
以上のように、クラウドファンディングは、インターネット上のプラットフォームを介して、広く一般の個人から資金を調達し、出資ができるという共通点を持っています。
他方、出資金の返還の有無、融資か株式投資なのか等によって、①購入型、②寄付型、③融資型、④ファンド型、⑤株式型の5つのタイプに分けることができます。
いずれのタイプであっても不特定多数の個人から少額の資金を調達できるようになったことにより、従来の直接金融・間接金融とは異なった、資金調達が可能となっており、今後も別のタイプや各タイプの複合型である新しいタイプが生まれてくる可能性もあるように感じます。
[参考文献]
税所哲郎. (2016). マッチング・ビジネスが変える企業戦略. 白桃書房.