長期的なAI発展の動向について
■長期的なAI発展の動向とは
(引用)総務省「人口知能の未来 -ディープラーニングの先にあるもの」(2016,松尾豊)に基づいて作成
上の図は、2030年までの比較的に短期的なAIの発展のロードマップとして6つの段階を表しておりますが、もう少し長期的な視野に立った時のAIの発展はどのようになるのでしょうか。
比較的長期的にAIが実現しそうなカテゴリーとして以下の3つが挙げられます。その3つとは、「⑦数的操作」、「⑧対象のモデル化」、「⑨意識・自己・再帰」です。率直な所感としては、上の図の①〜⑥と比較すると、比較的に長期とはいえ近い未来においてAIの発展が究極的にはここまで来るという予想する専門家がいることに驚きを感じます。確かに、これらか実現するのだとすると、農業革命に匹敵する変化に立ち会うという稀有な時代に我々は生きているのだと感じます。
⑦数的操作
技術面:自動プログラミング的な特徴量の生成
産業化:ビックデータ分析の自動化
マーケティングの自動化
⑧対象のモデル化
技術面:科学的発見経済・社会現象の予測
産業化:経済・社会予測精度の向上
AIによるノーベル賞
⑨意識・自己・再帰
技術面:人間の認知・知能の解明
産業化:哲学・言語学の諸問題の解決
意識のアップロード化?
以上が比較的長期において実現するかもしれないAIの機能です。AIがノーベル賞レベルの研究をすることや哲学の解決にまで広がってくるときには、人間とは何かという本質的な問いがなされ人間理解が深まっていくことになるのだろうなと感じます。
なお、個人的な所感として、意識のアップロードに関しては、意識を完全に機械に移すことは不可能だと思っています。現実を認識している自己を本体から機械に移すことができたとしても、意識・自己を複製しただけであって、本体の自己は相変わらず肉体にも存在している筈だからです。
つまり、意識を完全にアップロードしたのだから、肉体が滅んでも機械の中で意識が半永久的に生きるという話は元の自己が消滅してしまうので全く意味がないのではと思います。
ただし、肉体と機械を融合させて本体の意識を機械にまで広げることはもしかしたら出来るのかもしれません。
どちらにしてもここまで来るとSFの世界のようなのですが、このような大きな変化に近いことが起こりつつあるということは頭の片隅に入れておいても良いのかもしれません。
[参考資料]
松尾豊. 人口知能の未来 -ディープラーニングの先にあるもの. 総務省. http://www.soumu.go.jp/main_content/000400435.pdf