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組織構造を定義する六つの要素(④管理の範囲)

組織構造を定義する六つの要素の中の、「管理の範囲」について考えてみたいと思います。

①職務の専門化
②部門化
③指揮命令系統
④管理の範囲
⑤中央集権化および分権化
⑥公式化

■管理の範囲とは
管理の範囲とは、1人のマネージャーが管理する従業員数のことを指しています。各階層のマネージャーが管理する従業員数で組織の階層が決まっていきます。
具体的なイメージとして、400名の組織で考えてみましょう。1人のマネージャーが管理する人数が3~4名の場合には、6階層の組織が必要となります。一方で、1人のマネージャーが管理する人数が7名の場合には、4階層の組織となり、よりフラットな組織となります。

■管理の範囲を狭くすると
管理の範囲を狭くすると、つまり、各階層の1人のマネージャーが管理する従業員数を少なくすると、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

<メリット>
・マネージャーは少ない人数を管理していくことになりますので、一人一人の従業員を手厚く管理・指導できるようになります。
<デメリット>
・管理階層が増え、マネージャー数も増加するため、管理に係る経費が増大します。
・マイクロマネジメントなり、従業員の自主性や独創性を打ち消し、逆に生産性を下げる懸念があります。

組織行動のマネジメント(スティーブン P.ロビンス著/高木晴夫訳)においては、近年、各階層の1人のマネージャーが管理する従業員の数は多くなる傾向にあると述べられています。これは、よりフラットな組織の方が効率良く組織を運営できるという認識が広がっているからかもしれません。また、情報技術の発達により、下位レベルの従業員がかつては、トップレベルのマネジメント層しかアクセスできなかったような情報にアクセスできるようになったからかもしれません。もしくは、モバイルワーカーのように場所や時間に縛られないビジネスパーソンが増えているからかもしれません。

■中堅・中小企業における管理の範囲
一方で、中堅・中小企業における管理の範囲については、一概に、各階層において1人のマネージャーが管理する従業員の数を多くすれば良いというものではないのかもしれません。特に、中小零細企業の場合には、組織がしっかりと定義付けされておらずに、そもそも1人のマネージャーが管理している従業員の数が多すぎるような場合もあるためです。
このように中堅・中小企業においては、一概にフラット化していくことが良いのではなく、戦略遂行のために各部門を管理するうえで必要な要員数をしっかりと定義付けていくことが求められます。また、情報技術などのツールによる効率化も視野にいれて管理の範囲を検討していくことが有用となるかもしれません。

[参考文献]
スティーブン P. ロビンス (著), 高木 晴夫(訳) (2009). 組織行動のマネジメント. ダイヤモンド社.