コッター教授の組織変革のための8つのプロセス(①危機意識を高める)
■組織変革のための8つのプロセス
組織変革のための8つのプロセスの一つ目である「①危機意識を高める」ことついて考えてみたいと思います。
①危機意識を高める
②変革推進のための連帯チームを築く
③ビジョンと戦略を生み出す
④変革のためのビジョンを周知徹底する
⑤従業員の自発を促す
⑥短期的成果を実現する
⑦成果を生かして、さらなる変革を推進する
⑧新しい方法を企業文化に定着させる
■①危機意識を高める
組織には、慣性の法則が働いています。慣性の法則は物理法則で、何も抵抗が無い状態で物体を動かすと同じ速度と方向に進み続けるという法則です。組織の慣性の法則も同様で、何かの圧力が加わらない限り、組織が変わるということは基本的にありません。変わらずにいる方がエネルギーを費やす必要ないためです。個人で考えれば分かりですが、初めてのことをやろうとすると、覚えることもあり努力が必要ですし、慣れるまでに時間がかかります。そのため、慣れた業務を変えることに抵抗感が生じるということになります。
慣性の法則が働いている組織を変えようとするには、どうすれば良いでしょうか?それは、組織の一人一人が変化の必要性を感じとり、どのように変化すればよいかを理解させ、実際に変化させる必要があります。
この変化を起こす時に重要なことが、組織の中の個人の意識を変えることです。変わることが嫌な人たちに変わってもらうためには「変わらなくては駄目なのだ」、「今は変わる時なのだ」と理解してもらうことが重要です。それこそが危機意識を高めるということだと思います。回りくどいようですが、その後の組織変革のプロセスの下地を作るような重要なプロセスです。
危機意識を高めるには幾つかの方法があります。
・赤字決算のような、財務指標を明らかにして、組織変革が必要であるとことを示す。
・競合の脅威にさらされており、座して待っていては市場シェアを奪われる可能性があることを示す。
・本社のロケーションを変更する。
・保養施設などを売却する等バランスシートを整理する。
・コンサルタントなどの外部人材を雇う。
何れにしても、社員にこのままでは、会社が無くなるかもしれない、職を失うかもしれないという危機意識を持たせることが必要になります。これが、組織変革の8ステップの①危機意識を高めるというステップです。
[参考文献]
ジョン・P. コッター(著), 梅津 祐良 (翻訳) (2002). 企業変革力. 日経PB社, P63-88.