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サービス生産性改革③(やり方)

■サービス生産性改革のやり方
サービス生産性改革②(目的)において、サービス生産性改革の目的を考えました。

その中で、サービス生産性改革の目的とは、サービス業やホワイトカラーの1人あたりの労働生産性をサービス提供プロセスの効率化やIT活用による効率化によって大幅に改善することだと定義しました。

ここでは、サービス生産性改革のやり方、つまり、サービス提供プロセスの効率化とIT活用による効率化のやり方について考えてみたいと思います。

サービス提供プロセスの効率化の手順はとてもシンプルで以下の通りです。

①サービス提供プロセスを見える化する
②見える化されたプロセスの課題を洗い出す
③課題への対応方針(施策)を明確にする
④実際に実行する

①サービス提供プロセスを見える化する
まず、サービス提供プロセスを見える化する必要があります。

プロセスを効率化する場合に、現状のサービス提供プロセスが可視化されていなければ、課題がどこにありどのように改善をすれば良いのか検討することすらできません。

ですから、まず業務を見える化するということが、サービス提供プロセスの効率化において最初の1歩となります。

プロセスを見える化していく際には、業務一覧を作成し、一つ一つのサービス提供プロセスを明確にしていくことが必要となります。

②見える化されたプロセスの課題を洗い出す
次に、見える化されたサービス提供プロセスの一つ一つに対して課題がないかということを検証していきます。

課題を洗い出す際の観点については、いろいろ考えられますが、QCDはシンプル、且つ必要な観点が盛り込まれています。

Q(Quality): サービス品質/ガバナンス面
・サービス品質やガバナンス面の課題がないか?
・例えば、サービス品質に対するクレームの発生、インシデントの発生 等

C(Cost): 費用面
・サービス提供に係る費用面に課題ないか?
・例えば、サービス提供に必要な材料費用が高い 等

D(Delivery):サービス提供スピード/効率面
・サービス提供スピードや効率面で課題がないか?
・例えば、業務が属人的になっており、担当者によって作業プロセスが異なり非効率 等

③課題への対応方針(施策)を明確にする
課題が洗い出された後には、課題に対する対応方針(施策)を明確にしていきます。

対応方針(施策)を検討する際の観点としては、ECRS+Sをお勧めします。

ECRSはもともと生産工程の業務効率化を検討する際に使用されるフレームワークですが、どちらかということ無駄な作業をなくしていくことに主眼を置いています。

しかし、顧客満足やガバナンス面の課題を解決すべく品質を向上させようとするときには、現状よりも強化すべき業務が出てくるはずですので、今よりも強める方向性で+S(Strengthen)を筆者独自に追加しています。

E(Eliminate):削減
・業務の目的に照らし合わせてみるときに、削減できないか?

C(Combine):統合
・他の業務と統合して、複数回行われていた業務を1回にまとめられないか?
・他の業務と統合して、準備や後処理の時間を削減できないか?

R(Rearrange):置き換え
・業務の順番を変更することによって、効率化できないか?

S(Simplify):簡素化
・業務を簡素化することによって、業務を効率化できないか?
・ITを活用することよって、効率化することはできないか?

+S(Strengthen):強化
・顧客満足、及びガバナンス面から強化すべき点はないか?

④実際に実行する
課題に対する対応方針(施策)が明確になった後には、それらを実行に移していきます。

実行に移す際には、各施策の優先順位を定めて、優先度の高い施策から実行に移していくことが大切となります。

限られたリソースで一度に手を付けられる範囲には自ずと限界があり、すべての施策を一度に実行しようとすると、逆に改革が思うように進まなくなるためです。

また、優先順位の高い施策に絞って実行し、効果が実際に上がることで、組織のメンバーのモチベーションが高まり、他の施策の実行に弾みがつくことも期待できます。

なお、優先順位は、施策によって得られる効果や実行難易度等によって検討していきます。

■まとめ
以上のようにサービス生産性改革のやり方の概要は以下の4つのステップとなります。

①サービス提供プロセスを見える化する
②見える化されたプロセスの課題を洗い出す
③課題への対応方針(施策)を明確にする
④実際に実行する

これらのステップは、主にサービス提供プロセスの効率化について論じられており、IT活用による効率化の観点が抜け落ちているように感じるかもしれません。

IT活用による効率化については、「③課題への対応方針(施策)を明確にする」において、手段の一つとして検討されるべきものと考えています。

サービス提供プロセス自体が可視化され、課題が明確になってからこそ、ITをどこに活用すれば良いかが明確になるからです。