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■産業革命は何故起こったのか?

 18世紀後半から19世紀前半にかけて、イギリスで産業革命が起こりました。産業革命をもたらした直接的な原因は、もちろん蒸気機関のような技術が後押ししたことは言うまでもありません。では、何故イギリスで産業革命が起こりえたのでしょうか?

 その理由を参考文献の「世界史の中の産業革命」では、当時のイギリスが他の地域と比較して労働賃金が高かったからだと指摘しています。17世紀はじめ、首都であるロンドンに人が大量に流入し急速に経済成長することによって、賃金が高くなっていきました。引きずられるように17世紀後半になると、イギリス国内の他の地域も経済発展により、同じように労働賃金が高まっていきました。

 このように、労働賃金が他の国として比較して高くなっていったイギリスでは、蒸気機関で動く紡績機械等に資本投下するメリットが大きくなったということです。つまり、人を雇うとコストがあまりにも高すぎたので、高い機械を導入したとしても、雇う人数を抑えられれば、投資対効果を十分に享受できたということです。

 他方、当時の日本を考えてみますと、17世紀、18世紀は江戸時代の初期から中期ということで、鎖国をしていたこともあり、労働賃金が比較的に低く抑えられていました。ですから、コストがかかる蒸気機関に投資するよりも、人に働いてもらう方が経済的メリットを享受できたということなのです。ですから、日本を含めた、イギリスよりも労働賃金が低かった他の国々では産業革命が起こりえなかったのだと指摘しています。

 このように、「蒸気機関というテクノロジーの発展」と共に、「他地域よりも労働賃金が高かった」ことがイギリスにおいて産業革命が進んだ大きな要因であったのです。

■コロナウイルスがもたらす変革とは?

 では、2020年にパンデミックを引き起こしているコロナウイルスはどのような変化をもたらすのでしょうか?

 ここでも、イギリスにおける産業革命と同様に、大きく2つの要因から考えてみたいと思います。一つ目の要因は、人が集まるということに対するコストが急激に高くなっているということです。人が多く集まれば、感染が広がるリスクが高まります。ですから、満員電車に乗ることや、オフィスや工場に集まって仕事をするということは、感染発生のリスクが高まり事業継続性が危ぶまれることになります。

 もう一つの要因は、インターネットをはじめとした、情報技術が発展してきているということです。情報技術を活用することにより、人が大勢集まって作業をしなくても、仕事を進めることが可能になりつつあります。

 だからといって、当然ながら、多くの会社がすぐに人を集めるのをやめて、リモートに切り替えるということにはならないでしょう。現在は、オフィスや工場で仕事をするという状況を変えるなんてあり得ないという人が大勢を占めていますので、今の状況はしばらく続くのだと思います。しかし、コロナウイルスの影響が長期化することによって、状況が変わってくる可能性があります。また、コロナウイルスだけでなく、新しい感染症が起こる可能性は常にあります。地震や台風などの自然災害も起こり得ます。

 産業革命は、イギリスにおける高くなりすぎた労働賃金を蒸気機関というテクノロジーが代替し補えた事で起こりました。同様に、密集した都市やオフィスに人が集まるということに対するリスクや事業継続性の観点からのコストを、インターネットやAIが代替できると広く認知されはじめると、産業革命に匹敵する大きな変化を加速させることになると考えています。

 このようなことを考えるときに、やはり一つ一つの会社は、業務をできるだけ自動化・無人化していくことや、社員が地理的に分散していてもリモートで仕事ができるような状況に変えていくことがとても大切だと思います。このような事で、お困りの場合には、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

[参考文献]

アレン. R. C. (2017). 世界史のなかの産業革命. 名古屋大学出版会.

(第82回: 2020/5/6)