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■部門横断的な課題の難しさ

 リモートワークであろうが、なかろうが、実務で行き詰ることが多いのが、部門を跨がる課題に対する対応です。ご支援先の会社でもリモートワークの中で、部門を跨ぐ課題の推進が滞っているケースが見受けられます。部門横断的な課題で行き詰まる原因は2つに集約されます。

・当事者意識の欠如

 一つ目は、部門を跨がる課題に対する当事者意識がなくなってしまうということです。自分たちの部門に閉じた課題であれば、担当者が明確に定まり、課題に対する当事者意識を持たせることが可能です。しかし、部門を横断した課題の場合には、双方の部門が相手の部門が対応してからこちらも対応しようと考えていることが多く、責任の所在がはっきりしません。ですから、双方の部門で当事者意識を持たせにくくなります。ですから、経営者や役員のような、部門長より上のレイヤーから指示を都度出さないと取り組みが進まないということが起こってしまいがちです。

・他部門への働きかけの難しさ

 また、仮に担当部門が決まっていたとしても、違う部門に対して働き方けるというのは、常に困難が伴います。自分たちの部門では当たり前に行われていることが、他の部門では当たり前ではないということはままありますから、コミュニケーションがそもそも難しくなります。また、他の部門に対して、色々と依頼するのも気が引けるという遠慮もあったりします。

 このように、部門横断的な課題への対応は、リモートワークであろうが、なかろうが推進が難しいということに変わりがありません。しかし、リモートワークの場合には、対面でのコミュニケーションができない分、対応がより難しく感じるのではないでしょうか。

■リモートワークで部門の壁を乗り越える方法

 それでは、どのようにすれば、リモートワークであっても部門横断的な課題への対応がしやすくなるのでしょうか。ポイントは二つあります。実は、対面であってもこれらのポイントを抑える必要がありますが、具体的な対処方法はリモートワークと対面で異なる部分があります。

・部門横断的な機能を作る

 まず、一つ目のポイントは、部門横断的な機能を作るということです。組織が非常に小さい場合には、社長や役員が担うケースもあるでしょう。しかし、数十人を超える組織で、且つ部門横断的な課題が頻発する場合には、社長直下で別組織を作ることが必要となります。イメージとしては、経営企画室のような組織で、部門横断的な課題を取りまとめる役割を担うことになります。この部門横断的な機能があることで、グレーゾーンの課題に対する当事者意識を持たせることが容易になります。

・多段階のコミュニケーションを図る

 次にコミュニケーションについては、やはり関連する部門の担当者としっかりとコミュニケーションをとっていく必要が出てきます。対面であれば、関係者を集めて、話をさせる場を作るなどして、解決方針のすり合わせができるのですが、リモートワークでは、顔を突き合わせてコミュニケーションができません。

 だからといって、部門を跨いだコミュニケーションが不可能なのかというと一概にそうとも言えないのです。何故かというと、リモートワークであれば、メールやチャットを使って、個別に関係者とコミュニケーションをとることが行いやすくなります。オフィスにいる場合には、相手の席まで行って、話さなくてはいけないところをメールやチャットで会話をすることが出来るようになるので、案外効率的に話を進めることが出来るのです。

 このように、リモートワークにおける部門横断的な課題への対応は、部門横断的な機能(組織)を作るということと、メールやチャットを活用した個別のコミュニケーションによって、意外と効率的に進めることができます。

(第80回: 2020/4/22)