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■ワクチン後のシナリオ

 2021年3月現在、程度の差はあるにせよ、各国で新型コロナウイルス(Covid-19)のワクチンの接種が進められています。そして、参考文献のように、新型コロナの終息にはワクチンの接種が進むことが必要だとする見方もあります。理由は、新型コロナの致死率が現在よりも改善しないのであれば、多くの人が新型コロナに感染することによって集団免疫を獲得するという選択肢は現実的ではないからです。そうなると、必然ワクチンの接種が必要となります。しかし、ワクチンの有効性や副反応の可能性もある中で、ワクチン接種後の世界がどうなるかは2021年3月現在では誰も知ることができません。つまり、複数のシナリオが考えられうる状態だと言えます。ざっくりと楽観的シナリオ、悲観的シナリオ、中間的シナリオが考えられます。

楽観的シナリオ

 米国のバイデン大統領は、2021年3月時点で、2021年7月には新型コロナウイルスから独立できる可能性があると述べています。これは米国の7月4日の独立記念日に掛けているもので、ワクチン接種が進めば、「家族(少人数グループ)が集まって記念日を祝うことができる可能性がある」というものです。米国においてワクチン接種が進み、且つワクチンが有効である場合の楽観的なシナリオです。このように、楽観的シナリオは各国でワクチン接種が円滑に進んで、ワクチンが有効に作用し、早期に新型コロナから脱却できると見込めるというものです。それに伴って、経済もV字回復していくシナリオです。

悲観的シナリオ

 一方で、ワクチンがあまり有効ではない、もしくは副反応が取りざたされるなどして接種が進まないケースも考えられます。実際に、2021年3月15日にドイツ、フランス、イタリアなどでアストラゼネカ製のワクチン接種後に血栓ができる副反応の疑いがあり接種を中断するとの報道もありました。また、ウイルスが変異してしまう場合に現在のワクチンが有効でなくなる可能性も否定はできないようです。これらのようなケースでは、短期間(例えば、2021年内)で新型コロナが概ね終息するというような期待は難しくなります。悲観的シナリオでは、日本においては、緊急事態宣言を再度発令するということも考えられます。また、オリンピックが完全中止になるなどの状況になれば、景気にも悪影響を及ぼす懸念もあります。このようなケースが悲観的なシナリオといえそうです。

中間的シナリオ

 中間的シナリオは、ワクチンの有効性はある程度は確認されるのですが、楽観的シナリオほど、有効には働かないケースです。もしくは、ワクチン接種の遅延やウイルスの変異によりワクチンが楽観的シナリオほど、効果的に働かないようなケースです。日本においては、緊急事態宣言が出るほどではありませんが、抑制のための対策が続くシナリオです。態楽観的シナリオと悲観的シナリオの中間のようなシナリオです。

 2021年3月現在では、これらのシナリオのどのシナリオに近くなるかというのは、見通すことは難しいです。ですから、どのような状況になっても大丈夫なように心構えをしておくことが重要です。

■ワクチン後の働き方

 そして、シナリオによって時期に(場合によっては大幅な)違いはあるにせよ、いずれワクチン後の働き方へとシフトしていくことになります。ワクチン後の働き方とは、リモートワークをどの程度取り入れていくのかということがキーとなります。

 2021年3月の日経新聞に記載の米調査会社フォレスターリサーチによると、「オフィスに完全に戻る会社が30%、出社とリモートワークの組み合わせが60%、完全にリモートワークを継続する会社が10%」と予測しています。このように、部分的であってもオフィスに戻る会社が大勢を占める状況になるということは、オフィスにおける感染対策が求められるということになりそうです。つまり、非接触の技術やオフィスの換気などの需要が増す可能性があります。また、リモートワークやジョブ型雇用などについて、同じ会社であっても職種で切り分けて、導入していくような動きも出てくるかもしれません。さらに、オフィスの立地や広さも変更するような可能性もあります。

 以上のように、2021年3月現在、ワクチン接種後に楽観的なシナリオをたどるのか、悲観的なシナリオたどるのかは、わかりません。しかし、時期に大幅な違いが出てくる可能性はありますが、いずれワクチン後の働き方へとシフトしていきます。それを見据えて、徐々に準備を進める時期なのかもしれません。

<参考文献>

峰宗太郎、山中浩之, (2020), 新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実. 日経プレミアシリーズ.