「リモート副業」の活用法
■「リモート副業」が増える背景
コロナ禍において、「リモート副業」というものが生まれてきています。会社が地方にありEC構築、市場調査、マーケティング等の人材の採用が難しい場合、「リモート副業」について検討してみる価値があるかもしれません。会社が地方あったとしても大都市圏の企業に勤め専門性を身につけた人材を手ごろな価格で活用できる可能性が広がっているからです。やりたいことが明確で、スポットで専門性の高い人材を活用したい場合には、選択肢となりうるように感じます。また、二つの理由から、「リモート副業」の市場がしばらく成長するのではないかと予想されます。
一つ目は、コロナ禍でリモートワークが広がったことにより、大企業に勤める人材が通勤時間や週末の時間を活用できる余地が広がったためです。リモートワークを中心に仕事を進めることができるのであれば、場所を問わずに仕事をすることが可能となりますので、副業として仕事をするハードルがかなり下がりました。
二つ目の理由は、政策面です。副業を解禁している企業が増えています。終身雇用が困難となっている状況において、副業を推奨する流れは進んでいくことになると思われます。また、政府の政策としても『まち・ ひと・ しごと創生本部』が内閣に設置され、大都市圏に住む人の兼業・副業などを通じて、地方の会社や団体を支援し地域の活性化を狙うという動きが続いています。
このように、コロナ禍におけるリモートワークの浸透と、企業と政府の政策面で「リモート副業」を実現する土壌が整いつつある状況です。またコロナの完全終息が見通せない中でしばらくの間、このような流れは変わりそうにありません。
■「リモート副業」を活用する方法
では、企業としてどのようにすれば「リモート副業」を活用できるのでしょうか?
「リモート副業」活用の2つの方法について考えてみたいと思います。
①イベントへの参加
一つ目は、交流イベントに参加するということです。2020年10月の石川県が主催し、リクルートキャリアが協業する形で「社会人向けインターンシップ交流イベント」がオンラインで開催されました。オンラインイベントに参加した老舗和菓子店「中浦屋」は、月数万円ずつで5名の副業人材を採用し、ECなどの仕組の構築を進めています。
②プラットフォームの活用
もう一つは、プラットフォームを活用する方法です。副業人材のマッチングをしているプラットフォームに仕事募集を掲載することで、副業を希望する人材が応募、オンライン等で面談をして双方の条件が合えば、副業として採用するというものです。プラットフォームには、「Skill Shift」や「YOSOMON!」といったサービスがあります。こういったプラットフォームを活用する場合には一定の手数料が発生する点は考慮が必要です。
なお、2020年3月の日経新聞の記事によると、「リモート副業」にはデメリットもあるとしています。それは、副業をする人材が実店舗に行く機会が無いため、会社や近隣地域の実情が分かりにくいということです。また、副業人材を活用する会社としても一回も会ったことがない人材へ仕事を依頼することの抵抗感がある場合があります。
このようなことへの対策として、Zoomなどのオンライン会話ツールを適切に活用し、密なコミュニケーションをとっていくことで、双方誤解が無いように意思疎通をしていくことが必要となります。また、会社側でも、しっかりと依頼すべき仕事を明確にしていく必要があります。そのためには、プロジェクトのロードマップを描きそれを実行していけるようなリーダーシップを持った人材が必要となります。
(第126回: 2021/3/17)