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組織変革を成功させる5つのポイント

■組織変革の難しさ

 ご支援先の方から「取り組みが思うように進まなくて困っています」との相談を受けました。なんでも、仕事を標準化・デジタル化して業務を効率化したいのですが、思うように進まないようです。

このような組織変革を進めるときに多くの会社が壁にぶつかります。変化が大きければ大きいほど、取り組みに対する抵抗が大きくなるからです。会社には慣性の法則があります。何かを変えようとすると抵抗が発生するということは、やむを得ないものです。組織変革を成功させるためには、抵抗を抑制しながら取り組みを進める必要があります。

■抵抗を抑制する5つのポイント

 抵抗を抑制しつつ、組織変革を実現するには、共有するポイントがあります。今回は、最も重要な5つのポイントをお話ししたいと思います。

①危機意識を高める

 現状に対して何も問題がないと思っている人は、現状を変えられることに抵抗感を感じます。「何も問題がないのに何でわざわざ仕事のやり方を変えるのか?」という気持ちが沸き上がってくるのです。

 得てして、会社のトップ層が感じている危機感というものは、現場の社員には伝わっていないものです。経営トップは、会社の数字、競合他社の動きを常に把握しているので、このままでは、会社が傾くという危機感を持ちやすいです。しかし、現場の社員というのは、日々の仕事をこなしていればお給料がもらえます。ですから、危機感の持ちようがないのです。そのような中で、「組織を変革しろ」と言われると、必要性を感じていないので、抵抗感を感じてしますのです。

 ですから、組織変革をするときに大切なことは、経営トップが感じている危機感を共有することです。会社の売上が落ちてきているとか、競合他社が伸びてきているといった事実を数字など含めてしっかりと共有することが大切です。そのことで、今のままではだめなのだという危機意識が芽生えるのです。

②エースを巻き込んだ変革チームを築く

 組織を変革すると必ず抵抗する人が出てきます。この時に一番困るのが、対象となる業務において実力がある人材が取り組みに抵抗することです。こういった、会社の中の実力者の抵抗を抑えるのに一番の方法は、変革チームには、対象なとなる仕事のエース級の人材を充てることです。

 エース級の人材を変革チームに入れることで、納得感のある取り組みが出来ます。あの人が言っているのだったら従おうという雰囲気も作ることもできます。また、エース級の人材であれば、抵抗する人たちを懐柔することも容易になります。

③ビジョンと戦略を作り、周知徹底する

 組織変革には、「Why」、「What」、「How」があります。「Why」というのは、ビジョンです。「なぜ、この変革が必要なのか?」ということです。「What」は、戦略です。「具体的にいつまでに何をやるのか?」ということです。このビジョンと戦略を伝えずに、どうやってやるかという「How」だけを指示すると、取り組みの重要性を理解出来ませんので、社員に抵抗感が生まれます。

 また、「Why」、「What」、「How」を伝えるときの伝え方も重要です。重要な取り組みであればあるほど、会社としての公式の決定事項だということを印象づけることが大切になります。ですから、全社員向けのミーティングや公式の掲示板なので公表するといったことが必要となるのです。

④変革チームメンバーのモチベーションを高める

 抵抗を抑制しながら、取り組みを進めるためには、変革を担うチームが高いモチベーションで変革に取り組むことが重要です。そのような状態でこそ、変革チームが抵抗する人たちを説得し、巻き込みながら取り組みを進めることが出来るのです。

 変革チームのモチベーションを高めるためには、取り組みの重要性を伝え、会社の将来を担っているのだというくらいの気概を感じてもらうことが必要です。

⑤短期的成果を実現し、勢いをつけて真の改革に乗り出す

 危機感を共有し、組織変革の重要性を説明しても、いま一つ、社員が取り組みに前向きでない場合があります。このようなときには、取り組みの重要性を感じてもらうことが重要です。これには、「クイックヒット」を打つことが効果的です。

 「クイックヒット」というのは、短期間で効果が出そうな施策を選び、実際にやってみるということです。実際に効果を目の当たりにすることで、社員に取り組む意義があるという実感がわいてきます。そうすることで他の施策もやってみようという気持ちになるのです。

 以上の5つが、これまでの経験から組織変革を実現するための共通するポイントです。組織変革で行き詰まりを感じている場合には、この5つを見直して、取り入れられることをお勧めします。

(第95回: 2020/8/5)