〒160-0023
東京都新宿区西新宿3-9-7

TEL : 03-6868-4495

第28回: 生産性向上のためのポイント

■生産性向上を阻害するもの

 ある製薬業の生産管理の責任者から、「製造している品目を整理したいのですが、営業部の反発にあって困っているんですよ。」との相談です。

 なんでも、得意先からの特殊な要望で製造している品目があるとのことです。この品目の年間の販売量は、工場において製造する最小ロット数より少ないそうです。そのため、在庫余剰や廃棄ロスにつながりやすくなっています。更に、このような特殊な製品を製造するために、ラインを止め、人件費を費やす必要があるため工場全体の生産効率を悪くしている一因にもなっています。全社的に生産性向上を求められている中で、社長から何とかこの特殊な製品の製造を停止できないか検討を指示されていました。

 しかし、営業部からは、その製品の製造停止を強く反対されています。理由の一つは、わずかではあっても売上貢献している製品の製造を止められると、自分たちの売上数字が減少するからです。もう一つの理由は、当社の売上構成比で大きな割合を占めている上得意先からの要望で製造している品目だからです。会社としてその上得意先と良い関係を築くことは非常に大切なことですので、営業部の見解も分からなくはありません。

 しかし、上得意先からの要望だとしても、その特殊な品目の収益性の低さは目に余るものがあり、会社としてはなんとか製造停止したいとのことです。

■推進を阻害している真の原因

 このように、生産管理の責任者は、社長からの指示と営業部からの反対とで板挟みになってしまっています。この問題の本当の原因は何でしょうか?

 それは、製造部(生産管理課)と営業部の当事者間で問題を解決させようとしていることです。

 このような複数の部門にかかわる問題を解決する必要があるときに、当事者間で問題を解決させることは絶対に避けなくてはなりません。

 製造部や営業部の担当者が、自分の部門を超えて会社全体の収益性を上げるような取り組みをすることを期待してはいけません。そして、組織の中の人材は、他の部門の担当者から指摘を受けるということに対して、強い反発感や憤りを感じるものです。

 営業部からすると、売上が減少する上に、大事な上得意先との関係が壊れる可能性があるようなことを受け入れるわけにはいきません。そして、そのようなことを製造部側から指摘されることにも反発感と憤りを感じていたのです。

■推進させるための対策

 このケースでは、社長から営業部に直接指示するべきでした。社長から会社の判断として、該当製品を製造停止しなくてはならない旨を伝えます。その上で、得意先との関係が悪くならないような対応も必要です。例えば、得意先に対して、製造工程が余儀なく変更され、該当製品を大幅に値上げしなくてはいけなくなったと説明し、自然に製品の需要がなくなるような経営判断をしなくてはならないかもしれません。

 また、社長主導の対応に加えて、大切なことは、このような全社的な取り組みを推進できる仕組みを会社の中に持っておくことです。

 つまり、今回の取り組みであれば、収益性の低い品目や廃棄ロスが大きい品目の洗い出し、該当する製品の販売先の分析、該当する製品を生産停止した場合のリスク等の分析を担う部門横断的な組織があると良かったです。その上で、部門横断的な組織から社長に対して、必要なデータを提示して、社長が意思決定をできるようにしていくことで、問題への迅速な対応というものが現実に可能となります。

(2019/4/24)