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進捗管理が失敗する理由

■進捗管理とは

 プロジェクト管理の支援をするときに、「あれ、このプロジェクトもはや期限通りに終わらないのではないか?」というような事態に直面することがあります。このような場合、大抵プロジェクトのメンバーは、目の前の課題の検討に手一杯になっており、プロジェクト全体の計画がなおざりになってしまっています。

 なぜ、このような事が起こるのかというと、プロジェクトの進捗管理において重要なポイントが抜け落ちているからです。進捗管理とは、プロジェクト全体のタスクやスケジュールを洗い出し、期日を定めて、予定通りにプロジェクトが進んでいるかをマネジメントしていくことです。今回は、この進捗管理が失敗する原因について考えていきたいと思います。

■進捗管理が失敗する原因

 進捗管理が失敗する原因は5つあります。

①概要から詳細にスケジュールが考えられていない。

 プロジェクトのスケジュールをつくる場合に、いきなり個別具体的な事柄を掘り下げて検討してしまうことがあります。全体感を把握せずに、個別具体的な項目から検討を始めると、正しい判断ができません。

 進捗管理を始めるときには、必ず、プロジェクト全体の概要スケジュールを作成することが大切です。概要スケジュールを作ることで、各々のタスクをいつまでに終わらせる必要があるのかということがはっきり見えるようになります。

②マイルストンが設定されていない

 マイルストンというのは、プロジェクトの重要な途中地点です。システム導入のプロジェクトであれば、プロジェクト計画完了、要件定義完了、システム開発完了、受入テスト完了というような重要なポイントです。

 概要スケジュールを作成するときには、このマイルストンの項目とタイミングを決定することが必要です。マイルストンが決まれば、いつまでに何をやるべきかが、明らかになるので、概要スケジュールが自ずからはっきりします。そして、概要スケジュールが明らかになれば、詳細スケジュールも明確にできます。

③構造化されていない

 詳細スケジュールを作成するときに問題となるのが、タスクの整合性です。タスクが構造化されていないと、タスクの重複や抜け漏れが発生しやすくなります。これを防ぐためには、概要スケジュールの各項目を詳細スケジュールの大項目として設定することです。つまり、詳細スケジュールの大項目は、概要スケジュールを作成した時点で自然に決まります。そして、大項目を小項目にブレークダウンしていけば、自然とタスクの重複や抜け漏れが少なくなります。

④日付や担当者が曖昧

 詳細スケジュールを作成した後は、日付や担当者を明らかにしていくことが必要です。日付や担当者が決まっていないタスクは、主体性を持って取り組むことが難しく、タスクが遂行されないことが多いです。ですから、詳細タスクの洗い出しをする際には、担当者と期限も併せて明確にすることが重要です。そして担当者と認識を合わせておくことが重要となります。

⑤進捗管理がなされない

 タスクの担当者や期限を決めたとしても、進捗が適切に管理されていない場合、タスクが進んでいるのか分かりません。進捗管理表上に担当者が進捗の実績を記載していき、予定通りにタスクが進行しているかを明らかにすることが必要です。また、予定通りにタスクが完了していない場合には、当該タスクの行の色を変えるなどのアラートを挙げることが必要です。

 また、規模が大きなプロジェクトであれば、週次程度のタイミングで、タスクの進捗状況をレポートにまとめて進捗報告をすることも必要です。進捗レポートには、タスクの遅延の有無、発生している課題を記載し、プロジェクトのマネジメントに伝達することが求められます。

 以上の5つが進捗管理の上手くいかない原因として、多くのプロジェクトで共通するものとなります。

(第95回: 2020/8/12)