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■複数部門に跨る課題の対応が難しい理由

複数部門に跨る課題とは、営業部と製造部の製販体制の最適化のための取り組みや、事業部と経理部の統制強化の取り組み、事業部とIT部門のシステム導入の取り組みなどがあげられます。

これらの取り組みが難しいのは、普段は異なる部門で働いている従業員が一つの課題に向かって協働して取り組まなくてはならい点にあります。

特に、課題の進捗を阻害している原因となるのが、認識の相違によって引き起こされる、コミュニケーションの阻害です。

例えば、システム導入の場合には、事業部サイドは、業務が効率化されるように、色々な要件をできるだけ盛り込みたいと考える一方で、IT部サイドは、決められた期限に決められたリソースでシステムを作り上げる必要があります。

このように両部門で、活動の背景、求められるものが異なるため、担当者間のコミュニケーションに齟齬が生じやすくなるのです。

具体的な事例で考えてみましょう。あるシステム導入プロジェクトでは、期限までに要件を全て提出すると、事業部とIT部で決めていました。そして、期限になって、事業部から要件の一覧が提出されました。しかし、受け取ったIT部では、要件が高度すぎることや、システム設計に移るには記載内容が不十分という理由から、システムを構築できないとして、双方で意見が食い違い、プロジェクトが止まってしまうということが本当に良く起こります。

このことが起きた原因は、期限までに要件を提出すると合意したときに、事業部とIT部で要件の記載内容やシステムで対応できる範囲について、双方で違うものを想定していたからなのです。

そして、このことを引き起こしている真因が、活動の背景が双方で全く異なるということをお互いが理解していないためなのです。このようなことは、事業部とIT部だけでなく、営業部と製造部、事業部と経理部等が協働で一つの課題の対応に当たらなくはならないときに、必ず起こります。

■複数部門に跨る課題への対応方法

では、このような事態はどのようにすれば回避できるのでしょうか?

一つは、両部門のトップが、話し合いをして、課題に対応するためのガイドラインを決めることです。上記のシステム導入の例の場合には、要件の具体的な記載レベルやシステムでの対応範囲について、両部門のトップを交えて合意至ることが必要となります。

そうすることによって、両部門の間で要件の提示のし方について、共通認識が出来上がり、初めて、IT部が求めている要件の一覧を事業部が作成・提示することが可能となるのです。

そして、もう一つの対応方法として有望なのが、両部門の仲介となるような部門・室を設置することです。片方だけの部門に属していると、しがらみから両部門にとって公平な判断をすることが難しくなります。

このことを解消するために、当事者部門とは異なる部門・室を立ち上げて、双方の意見の食い違いを咀嚼して、双方にとって納得のできるガイドライン作っていくという方法です。

後者は、トップマジネジメントが多忙な場合や、取り組みが広範で目が行き届かないような場合に、とても有効な手段となります。弊社の業務自動化の仕組構築において、自動化推進室を立ち上げることを推奨している一つの理由にもなっています。

(第18回: 2019/2/13)