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第23回: 複数部門にまたがる課題対応と業務自動化

■部門間にまたがる課題

以前、ある製造業の会社の製造部門役員から「在庫ロスの軽減と運転資金の適正化のために、在庫を削減させたいけど、なかなか一筋縄ではいきませんね」と相談を受けました。

在庫を削減させる際に、製造部単体で在庫を削減させる取り組みはもちろん大切ですが、それよりも営業部側で把握している顧客からの需要情報に基づいて、タイムリーに在庫をコントロールすることの方が、比較的に大きな在庫削減につながりやすい場合が良くあります。

つまり、営業部側で各製品がどれくらい売れるので、いついつまでに、どれだけ製品を用意するようにという依頼を出すことができれば、製造部は必要な数量だけをタイムリーに製造することが可能となり、在庫を余分に持つ必要がなくなります。結果として在庫の圧縮につながるというわけです。

このような状態を作り出すために必要なことは、営業部から製造部へ適切な情報を連携するということです。

突き詰めると一見シンプルな日本語のコミュニケーションの話なのですが、これが一筋縄にはいかないというのです。

理由は、異なる部門間でコミュニケーションをし、利害を一致させ、同一の方向に向かせる必要があるためです。

製造部からすると、在庫ロスは少なくしたいのですが、在庫切れはもっと避けたいことなので多めに製品の在庫を保持しておきたいと考えるのは自然なことです。他方、営業部においては、顧客からの受注にタイムリーに対応するために在庫が必要な分用意されていることが何よりも大切ですので、何も言われなければ、在庫ロスや運転資金について考慮することすらないわけです。

このような状況で、社長が「営業部と製造部が協力して在庫を削減するように」、と指示してみたところで、一朝一夕で取り組みが前に進むわけがありません。

■部門横断課題への対応方針

このような部門を横断する課題に対応するために最も必要なことは何でしょうか?

それは、社長が、会社のために何としても在庫を圧縮させるという強い意志を持つことです。

何だ、精神論か…と思われるかも知れませんが、先にもお話したとおり、製造部と営業部はそれぞれの部門を最適化させるために運営がなされていますので、「部門を越えて、会社全体のために協力しなくてはいけない」といわれても、あまりピンと来ないわけです。

製造部からすれば、「営業部から必要な需要情報を伝えてくれればいいのに」と思っており、また営業部からすれば、「何で自分たちがわざわざ需要情報を製造部に伝えないといけないのか」と思っていますから、話がかみ合うことは永遠にないわけです。

ですから、会社全体の運営に責任を持っている社長が強い意志を持って、それぞれの部門が在庫削減に向けて、変わらなくてはいけないことを納得させるということが何よりも重要となるのです。

ここができていれば、5割方、部門横断の取り組みは成功したといっても過言ではありません。そして、そこから先は、各部門の新しい目標数字や、誰がいつどのように情報を伝達するのかといった実務の話になっていきます。

■業務自動化の可能性

製造部や営業部に社長の意志が伝わり、部門横断課題に対応するための実務がしっかりと定義されると、実際に在庫が削減されるようになります。それだけでなく、社長に対して適切なタイミングで取り組み状況が報告されるようになり、目標を達成するための打ち手の指示も出しやすくなります。

ここまでくれば、一定の成果を上げていくことが可能となりますので、取り組みは成功したと言えるでしょう。そして、このような土台ができると、さらに生産性を高める余地も生まれてくるのです。例えば、製造部と営業部の需要情報をスムースに伝達するためにITシステムを導入するということが実際に可能となってきます。

逆に、このようなステップを踏まないでITシステムを導入してもまったく使われない無駄な投資になってしまう可能性が高くなってしまうのです。

弊社において提唱しているのは、順を追っていくことで確実に業務自動化のレベルを高めていく実践的な方法論です。

部門横断課題に対応するための実務の話や業務自動化を進めていく手順は、弊社セミナーでお話させていただいておりますので、このような課題への対応が必要となっている経営者の方々は奮ってご参加いただければと思います。

(2019/3/20)