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業務/システムの移行計画の5つのポイント

■移行の難しさ

 2020年10月初旬に東京証券取引所のシステムで大規模な障害あり、1日取引が停止しました。このように、システムに障害が起こると業務そのものが行えなくなってしまうという事態になりかねません。今回の障害の原因は、「情報系、表示系のハードウェア」の問題ということで、システム移行に関わる障害ではありませんでした。しかし、障害や問題が起こりやすいタイミングとして真っ先に思い浮かぶのは、やはりシステム移行のタイミングです。システム移行とは、現在使っているシステムから、新しいシステムに切り替えることを指します。移行におけるリスクを小さくし、安全な移行を実現するためには、移行計画を作ることが大切です。

■移行計画の5つのポイント

 では、どのように移行計画を立てれば良いのでしょうか?今回は、移行計画立案の際の5つのポイントについて考えてみたいと思います。

①移行要件

 移行要件とは、移行に際して求められることを明らかにすることです。この時に大切なことは、業務・システム・データの三つの観点を抑えることです。システムの切り替えを行う場合、システムやデータにのみ目が行きがちですが、最も大切な業務の移行も検討することが大切です。

 業務移行の観点では、移行後の業務が業務フローや業務一覧などで定義され、新しい業務のマニュアルやトレーニングが適切に提供されるように移行計画に盛り込むことが必要です。システム移行の観点では、各種テストが適切に予定されて実行されることを計画に盛り込むべきです。データ移行においては、移行の対象となるデータと移行方法の決定が必要となります。

②移行体制

 移行体制とは、移行を実現するための人的な体制の事です。ここでも、業務・システム・データの観点が欠かせません。業務移行の体制については、移行後の業務を運営するための人材が整っているのか?システム移行については、本番稼働後の保守運用の体制は整っているのか?データ移行に関しては、データ移行を実行するために必要な人材は確保できているのか?といったことについて、移行体制の計画を立てる必要があります。

③移行スケジュール

 移行スケジュールに関しては、移行前後のスケジュールを明確にする必要があります。スケジュールを明らかにする際には、マイルストンを明らかにすることが重要です。ここでのマイルストンとは、「ユーザー受入テストの完了」、「移行判定」、「本番稼働」、「初期稼働の確認」といった項目になります。これらのマイルストンが明らかになれば、必要なタスクも自ずから明らかとなり、スケジュールを適切に作成することが可能になります。

④リハーサル・移行判定

 そして、移行を実際に進めるために重要となるのが、リハーサルと移行判定です。リハーサルというのは、移行後の業務を実際に行ってみることです。リハーサルを行うことで、移行後の業務に慣れることも期待できますし、また、クリティカルな問題がないかの確認を行うことが出来ます。

 また、移行を実際に行うかどうかの判断は移行判定を行うことよってなされます。移行判定は、移行判定基準に基づいてなされます。移行判定基準に含まれる項目は、リハーサルや各種テストの結果や移行体制が整っているかといった観点が含まれます。

⑤コンティンジェンシープラン

 そして、移行計画に含むべきポイントとして重要なことがコンティンジェンシープランを検討することです。コンティンジェンシープランとは、緊急事態が起こった時の対応をあらかじめ定めておくということです。大まかに、本番稼働前と本番稼働後の二つの観点があります。本番稼働前に、緊急事態が起こった場合には、本番稼働を中止もしくは延期すべきかを迅速に判断する必要があります。また、本番稼働後に緊急事態が起こった場合には、システムと業務を移行前の状態に切り戻すか否かの判断が必要になるかもしれません。このような、緊急事態の状況を検討しきることが、コンティンジェンシープランにおいて大切となります。

 以上の5つのポイントが移行計画を検討するときに重要となってくるポイントです。会社の状況や移行対象のシステムや業務の性質によって、重視するポイントは変わってきます。ですから、移行時、移行後の姿を想定しながら、ある意味で悲観的にリスクを洗い出すことが、安全な移行実現のためには重要となってきます。

(第104回: 2020/10/14)