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組織が官僚的になる原因とその対策

■官僚的な組織になる原因

 菅首相になってから行政改革が叫ばれています。縦割り行政による非効率性や官僚的な組織を変革して、行政機関の生産性を高めようということが狙いのようです。組織は大きくなると必ず官僚的になっていきます。これは避けられません。

 組織が官僚的になる原因について、参考文献のHBRの論文の考えに基づいて説明をしていきたいと思います。組織は、創業からはじまる4つステージを経て官僚的な組織になっていきます。

①創造性で成長し、やがてリーダーシップの欠如の壁に当たる時期

 創業当初は、新商品/新サービスの開発・販売することで、会社が成長していきます。この時期は、長時間労働も厭わずに経営者もスタッフもがむしゃらに働き、会社を成長させていきます。しかし、ある程度の規模になってくると、経営者一人で組織全体を見渡すことができなくなり、組織運営が上手くいかなくなります。

②リーダーの指示によって成長し、やがて自主性の欠如の壁に当たる時期

 ある程度の規模を超えた組織は、強力なマネージャーのリーダーシップによって、経営管理の手法を導入していくことが必要です。例えば、生産管理体制やコミュニケーションの仕組みを確立していきます。新しい仕組みの下で会社は成長していきますが、一定の時期を超えると、上位のマネージャーと現場マネージャーで認識に乖離が発生していきます。現場マネージャーは、生産現場や顧客の声を把握しています。ですから、現場マネージャーが率先的に指揮を執っていく必要がありますが、自主性が育っていないため、指示待ちの状態になり会社の成長が滞っていきます。

③権限委譲によって成長し、やがて部分最適化の壁に阻まれる時期

 現場マネージャーの自主性の欠如を回避するために、権限委譲がなされます。営業部門や製造部門のマネージャーには大きな責任が発生します。この時期は、インセンティブによって、動機づけをしていくことで、会社が成長していきます。しかし、ある程度まで会社が成長すると、部門ごとに部分最適が進み、会社全体の全体最適が阻害されるようになります。

④全体最適を促す管理によって成長し、やがて官僚的な組織の弊害が表れる時期

 部分最適を打破するために、経営企画部のような部門横断的な組織が作られたり、各部門の予算や人的リソースを最適化するような事業計画が作られるようになります。このように全体最適を促す管理をしていくことで、会社は全体最適化されます。しかし、やがて結果よりも手法や手順に固執するような状況になっていきます。イノベーションも組織から影を潜め、ルールに縛られた組織、つまり官僚的な組織になってしまいます。

 このように、組織が成長していくと、上記のようなステップを経て、やがて官僚的な組織へと変わっていきます。

■官僚的な組織からの脱却方法

 組織が成長していくと、多くの場合、官僚的な組織になることは避けられません。では、どうすれば、全体最適を担保しつつ、官僚的な組織を活性化させることができるのでしょうか?

 官僚的な組織を脱却するために、会社はいろいろな手段を講じています。例えば、マトリクス型組織を導入することにより、全体最適を保ちつつ、各部門が柔軟に活動にできるようにすることも考えられます。また、組織風土の改革やマネージャーに対する様々な教育プログラムも必要となるかもしれません。また、Googleのように、業務時間の2割は自由な活動ができるような時間を設けることも有効となるかもしれません。

 官僚的な組織から脱却するために、これをやれば良いという唯一の答えはありません。業種や会社の風土に応じて、適した施策を講じていくことが必要となります。また、現在は、AIやRPAなどによる単純な労働作業の代替やリモートワークの推進などが進んでいます。これられを踏まえ、新しい観点での改革も益々求められるようになっています。

<参考文献>

Greiner. L. E (1998). Evolution and Revolution as Organizations Grow. Harvard Business Review. https://hbr.org/1998/05/evolution-and-revolution-as-organizations-grow

(第106回: 2020/10/28)