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■IT化がふさわしくないケース

 ご支援させていただいている企業から、「検討している業務について、ITツールを使って効率化できないでしょうか」というご相談いただきました。この会社では、数万人単位のスタッフ管理のような業務が新たにはじまることになりました。この管理業務を効率的に行うために、業務設計から業務実施までをご支援しています。

 ITツールを使った業務効率化は、対象領域とやり方があっていれば、とても大きな成果を上げることができます。しかし、ITツールの導入がそぐわないケースというのも実はかなり多く存在します。今回のケースは、ITツールの導入をしてはいけない典型的なケースでした。

 理由は、三つあります。一つは、かなり特殊な業務であるため、世の中に当該業務にフィットするパッケージソフトが存在しないということです。つまり、ITツールを導入しようとすると、ゼロからシステムを創り上げていくスクラッチという方法を取らざるえないということです。そして、スクラッチでITツールをつくりあげていくためには、しっかりと業務設計を行ったうえで、業務要件を洗い出さなくてはいけません。しかし、新規の取り組みであったため、業務要件が全く洗い出せていない状態でした。これでは、ITツールを開発することは非常に困難です。

 そして、二つ目の理由は、スクラッチで開発する必要があるにも関わらず、業務要件がほとんど定まっていなかったということで、費用感がつかめなかったということです。つまり、IT投資すべきかを検討するための投資対効果を明らかにすることが出来ない状態でした。

 三つ目は、求められる期限までに、見積もりが可能なレベルまで、業務設計を行い、要件を洗い出すということが難しい状況でした。つまり、QCD(品質・コスト・納期)の観点で考えると、品質が担保できるほど要件も固まっていない状態で、コスト面も投資対効果が定かではなく、そして、納期を担保できる保証もないわけです。

 このような状況から、本格的なITツールの導入は適当ではないという結論にいたりました。そして、IT化を必要最低限に抑えつつ、今いるスタッフで業務を回していくための業務設計を行い、業務を行っていくこととなりました。

■IT化を進められる条件

 では、逆にどのような条件がそろえば、IT化を進めることが妥当なのでしょうか?

 これは、既出のQCDが明らかになっており、求める水準を超えているかどうかで判断をすれば良いということになります。

 まず、Q(品質)の観点では、どの程度の品質が必要かということです。品質を検討するには、しっかりとあるべき業務の姿というものが定義されている必要があります。つまり、業務設計が行われており、担保すべき品質要件が定まっていることが求められます。

 C(コスト)の観点では、パッケージがあれば、パッケージを活用し、なければスクラッチでの開発となります。目指すべき業務品質を担保するために、いくらコストがかかるのか見積りを取り、投資対効果をシミュレーションします。

 そして、D(納期)の観点では、必要なタイミングまでにシステム化が出来そうなのか、そのスケジュール感を明らかにします。品質もコストも申し分ないのですが、必要なタイミングに間に合わないということでは元も子もなくなってしまいます。

 ITツールを導入するのか、導入しないのかの判断は、QCDの観点で、求める水準を超えているのかということを徹底的に検討することが重要となります。逆に、QCDが明らかになれば、自ずから意思決定ができると言っても良いということです。

(第68回: 2020/1/29)