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ITツールの導入に失敗する2つの理由

■ITツールの導入に失敗する2つ理由

 業務を効率化させるために、ITツールの導入を検討しているという会社の方から、「ITツールを導入したのですが、会社に浸透しなくて困っています」というお話を伺いました。最近、同じように、ITツールを導入してみたものの、会社の中で使われずに失敗に終わってしまったというご相談を続けて受けています。

 ITツールの導入をしたのはいいものの、ツールが浸透せずに困っているということは、本当に良く起こる問題です。何故、このような問題が起こるかというと、本質的に2つの原因しかありません。

 一つ目の原因は、ITツール自体の品質が悪い、もしくは自社の業務にフィットしていないということです。二つ目は、ITツール自体には、何の問題もないのですが、定着化させるための活動が適切でないということです。それぞれの原因について、掘り下げて考えてみましょう。

■ITツール自体の品質が悪い

 ITツール自体の品質が悪いという原因は、更に3つ原因に分けられます。1つ目は、業務要件の洗い出しが不十分だということです。自社の業務のどこをどのようにITツールに置き換えるのかが不明確だということです。

 2つ目は、システム会社の選定が不適切だということです。予算も考慮に入れて、自社の業務に適したITツールを選定していくプロセスが不十分だと、適切なシステム会社を選定することが出来ません。すると、当然ながら出来上がってくるITツールも何かしらの問題を抱えることになります。

 3つ目は、ITツールを活用しながら、あるべき業務を作り上げていくプロセスに誤りがあるケースです。お金と時間をかければ、業務要件を100%実現させることは可能です。しかし、現実は、費用対効果を考慮してどこかで折り合いを付けなくてはいけません。そして、折り合いをつけるときに大切なことは、ITツールが持っている標準的な機能に、自社の業務を寄せていくという発想をある程度持つことです。

 以上の3つのポイントをクリアしていけば、ITツールと自社の業務の品質を高めていくことが実際に可能となります。そして、この3つのポイントを検討するために重要なことが、適切な人材を検討メンバーに入れるということです。業務要件の検討の段階から、キーパーソンを巻き込んでいくことが、ITツールの品質を高め、そして、もう一つのポイントである定着化を促すためにも極めて重要となります。

■定着化が不十分

 ITツールの品質がいくら良くても、定着化が不十分であるとITツールの導入に失敗してしまいます。

 定着化が不十分ということは、人の問題か、教育の問題に分かれます。人の問題に関しては、上でもお話したように、ITツールの品質を高める段階から十分に考慮しておくことが必要となります。業務要件の検討の段階から、対象となる業務を熟知している担当者をアサインする必要があります。力のある人材を取り組みに巻き込んでおくことで、ITツールの品質アップに貢献できるだけでなく、ITツールを会社に浸透させていく際にも伝道師のような役割を果たしてくれることが期待できます。

 そして、ITツールの浸透させるためには、教育をしっかりと行うことが非常に重要となります。教育を考えるときには、教育計画を作ること、マニュアルをしっかりと作成すること、そして、トレーニングを必要な人材に、必要なタイミングで行うことが必要です。

 特に、システム会社を選ぶ際には、教育をしっかりと提供する会社なのかを見極めることも極めて重要な要素となります。

このように、これからITツールを導入しようという会社や、導入したものの行き詰っているという会社は、ITツールの品質と定着化の観点で問題がないかどうかということを見直してみると良いかもしれません。

(第45回: 2019/8/21)