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カスタマイズと標準化

■システム導入の戦略

先日、弊社のセミナーへの参加を検討されている会社から、問い合わせをいただきました。なんでも、「基幹システムの刷新を開始してから数年が経過しているのですが、会社の業務の特殊性から、導入がなかなか進まずに困っています。」とのことです。

システム導入の戦略を非常に単純化すると2つの戦略に集約されます。1つは、既存の業務に合わせてシステムを作っていくカスタマイズ戦略です。2つ目は、システムの標準機能にあわせて、業務を変更していく標準化戦略です。

どちらの戦略もメリット・デメリットがあります。

■カスタマイズ戦略のメリット・デメリット

[メリット]

・既存の業務に大きな変更を加えなくてよいので従業員からの反発が少ない

[デメリット]

・カスタマイズのための導入費用が比較的高い

・カスタマイズのための導入に比較的時間がかかる

 ・既存業務を土台としているため、抜本的な業務プロセスの改革になりにくい

■標準化戦略のメリット・デメリット

[メリット]

 ・システムで用意している標準プロセスに合わせて、既存の業務を標準化できる

 ・カスタマイズ費用がかからないため、比較的に費用を低減できる

 ・システムの標準機能を活用できるので、導入時間を比較的に短縮できる

[デメリット]

 ・既存の業務を抜本的に変更する場合、従業員からの反発や社員の離反をまねく可能性がある

 ・標準機能が既存の業務プロセスと乖離が大きく、既存の業務に支障をきたす可能性がある

■業務自動化との共通性

以上のように、カスタマイズ戦略と標準化戦略に双方でメリット・デメリットがありますが、実際のシステム導入は、2つの戦略の折衷案となるなることが多いです。つまり、基本は標準化戦略を採用しつつ、一部業務には、カスタマイズ戦略を適用するといった具合です。

そして、自社のシステム導入にかかる予算や、業務を標準化させる必要性の度合いに応じて、どの程度、標準化戦略を推し進めるかということは、実は、かなり高度な経営判断といえます。そして、限られた予算で業務を標準化させる必要性があると判断された場合には、強い意志を持って、標準化戦略を断行するという決断をしなくてはならいのです。その決断には、同時に、標準化させることによる既存の業務の抜本的な変更をどの程度まで受け入れるのかという判断も含まれています。

そして、戦略の方向性が定まったあとは、業務標準化やシステム導入を実際に推進していける仕組みを組織の中に作り上げることが必要となります。なぜならば、本業である日常業務と異なる非定常的な業務であるシステム導入を推進するためには、既存の体制で推進することに非常な困難が発生する場合が多いからです。

弊社の業務自動化の導入にもおいても、自動化推進室という体制を構築することで、導入推進を支援することを強く推奨しております。

以上のことは、基幹システムの導入と業務自動化の導入において全く共通する考え方です。まず大切になってくることは、カスタマイズ戦略、標準化戦略のどちらに軸足を置くのかという会社としての方針の決定となります。その上で、非常定的な取り組みを実際に推進させるための体制、及び仕組みを整えることが導入成功に向けた重要な要素となります。

弊社セミナーでは、業務自動化やシステムの導入を実際に推進するために、何をどのような手順で行うべきかという「How to do」についても、説明をしておりますので、同じような問題意識を持たれている経営者や経営幹部の方々は、ぜひご参加ください。

(第26回: 2019/4/10)