既存システムを刷新するときのポイント
■システムツール選定のポイント
2020年11月時点においては、会社のデジタル化を進めようという動きが加速しています。その中で、既存システムの刷新をしようと試みる会社もあります。既存システムを刷新するときには、いくつかのポイントがあります。はじめに考慮すべき点は、ツールを選定するということです。ツール選定は、開発環境と開発手法の観点で4つのパターンに分かれます。
①クラウド上のスクラッチ開発
②オンプレミス上のスクラッチ開発
③クラウド上のパッケージ
④オンプレミス上のパッケージ
開発環境の観点では、クラウドとオンプレミスという考え方があります。オンプレミスは自社にサーバーを独自に購入しますが、クラウドではサーバーは購入せずに、物理的に別のロケーションにある巨大なサーバーを借りる形になります。また、開発手法の観点では、スクラッチかパッケージかを選択します。スクラッチは一から自社に合わせて開発をしてきますが、パッケージでは出来あいのシステムを自社に導入することとなります。
法改正へのタイムリーな対応、業務効率化、低コスト、自社での手厚い保守運用が不要というメリットを考慮すると、③のクラウド上のパッケージ製品を選択することが妥当となるかもしれません。一方で、③のクラウド上のパッケージ製品のデメリットとして、自社の業務をパッケージシステムに合わせるBPRが必要となる点やクラウドのサーバーが止まってしまったらサービスが停止してしまう点などが挙げられます。これらのメリット・デメリットと業務の性質を考慮してツール選定を進めていく必要があります。
■既存システムを刷新する際のポイント
既存システムを刷新する際には、ツール選定だけでなく他のポイントも考慮する必要があります。代表的なポイントは以下の4点です。
・他システムとの連携
新しく導入するシステムと他のシステムとの連携を考慮する必要があります。連携がなされないと、システムを導入することでかえって手間が増えてしまい、業務効率が低下するという事態になりかねません。そのためには、下記のような観点を確認する必要があります。
-どのような形式でデータを出力するのか?
-出力したデータを既存システムにアップロードできるのか?
-データ出力と入力を自動化することはできるのか?
・データ移行
既存システムから新しいシステムにデータ移行が必要な場合、正しくデータを移行できるのか検討する必要があります。
-既存システムのどのデータを新しいシステムに移行する必要があるのか?
-移行するためのデータはどのように作成するのか?
-データ移行するためのツールは誰が作成するのか?
-データ移行が正しくなされたかの確認は誰がするのか?
・業務プロセス構築
特にパッケージタイプのシステムを導入する場合、既存の業務プロセスから変更(BPR)する必要があります。そのため、現状の業務の可視化とあるべき業務の定義が必要となります。あるべき業務の定義のためには、業務フローと業務定義書を作成していくことが必要となります。
・教育
そして、新しいシステムの使い方や業務が変更となる場合には、教育が必要となります。業務の切り替えのタイミングを考慮して、教育計画を作り、業務やシステムのマニュアル類を整備して、適切にトレーニングを実施してくことが必要なります。この教育の観点が抜けていると、導入したシステムが使われないですとか、新しい業務が回らなくなるといった事態になってしまいます。
既存システムを切り替える差には、以上のような点を考慮して進めていくことが必要となります。
(第107回: 2020/11/4)