デジタル化のアプローチ
■トップダウン型とボトムアップ型
withコロナの状況において、リモートワークやオンライン化が進められる状況において、デジタル化を進めようとしている会社も多いです。しかし、どのようにデジタル化を進めれば良いのかが分からないというケースもあるのではないでしょうか。今回は、デジタル化を進めるためのアプローチについてお話をしたいと思います。
ここでいうアプローチとは、デジタル化の目的や対象領域が決まっているという前提で、どのようにデジタル化を進めるべきかという方針の事です。デジタル化を進めるためのアプローチには、トップダウン型とボトムアップ型があります。トップダウン型とは、パッケージ化されたソリューションを選択し、パッケージ化されたソリューションに自社の業務を合わせることです。他方、ボトムアップ型とは、自社の業務に合わせて、スクラッチ型でシステムを開発していくアプローチです。この二つのアプローチのどちらかを選ぶかによって、デジタル化の進め方は大きく異なります。
■アプローチ決定の留意点
ここからは、トップダウン型とボトムアップ型のアプローチのメリット・デメリットを考慮しつつ、どのようにしてアプローチを決定していくか考えてみましょう。
トップダウン型のアプローチ
<メリット>
・ソリューションがパッケージングされているので分かりやすい
・比較的にコストを抑えられる
<デメリット>
・自社の業務に100%フィットするソリューションは存在しない
・少なからず自社の業務の変革が必要となる
ボトムアップ型のアプローチ
<メリット>
・自社の業務にフィットするソリューションを開発できる
・自社の業務を大きく変える必要がない
<デメリット>
・比較的にコストがかかる
・自社の業務にフィットさせるために開発工数が必要
以上のメリット・デメリットを考慮すると、ノンコア業務の効率化が目的であれば、トップダウン型のアプローチが適当な場合が多くなる傾向があります。なぜならば、投資対効果を得るためには、ツールの導入コストを抑える必要があるためです。
他方、コア業務の品質を高めつつデジタル化が必要な場合には、ボトムアップ型のアプローチを採用することが適当な場合が多くなります。自社の現状業務にフィットさせるためには、ボトムアップ的に業務を洗い出して、デジタル化していくことが求められるからです。このように、デジタル化の目的によって、採用すべきアプローチは変わってきます。
また、トップダウン型なのか、ボトムアップ型なのかのアプローチが決まると取り組みを進めやすくなります。トップダウン型あれば、パッケージのソリューション内容を検討して1社に絞り込んでいくことになります。また、ボトムアップ型を採用するのであれば、システムインテグレーターの中から自社に適した会社を選択します。
また、システム会社選定後は、トップダウン型の場合には、パッケージのソリューションに合わせて、自社の業務を変革していくことが必要となります。ですから、新しい業務マニュアルを作成することやトレーニングを実施していくことに重きを置くこととなります。他方、ボトムアップ型であれば、現状業務を可視化して、標準化したうえで、要件定義を行い、システム開発を行うというようなフェーズにも注力する必要があります。
以上のように、デジタル化のアプローチは大まかに、トップダウン型とボトムアップ型に分かれます。選ぶアプローチによって、取り組みの進め方が大きく変わりますので、対象業務や自社の目的に照らして、アプローチを決定することが必要です。
(第100回: 2020/9/16)