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第37回: 中堅・中小企業におけるAI人材

■会社におけるAI人材

 現在(2019年6月時点)、日本におけるAIの技術開発をする研究者は、1,000名に満たない状況で、アメリカの10分の1、中国の3分の1以下にとどまっているとのことです。当然、日本は特許出願数も米中に大きく水をあけられてしまっています。

 このような状況において、日本の会社がAIを活用して、競争力をつけるために何をやらなくてはならないのでしょうか?

 AIの技術研究において差を付けられている状況を挽回するためには、生み出された技術を実際のビジネスに活用していく応用力を高めることが求めれます。そのためには、AIの技術を理解し、実際のビジネスに応用することが出来る人材を輩出することが重要となります。実際に、政府の統合イノベーション戦略推進会議においても基礎知識をもつ人材を、2025年までに、年25万人育てる体制を整えることを目指しています。

 このように、会社へのAI導入を成功させるためには、AIに関する専門知識を有するAI人材の獲得が不可欠の状況です。このAI人材は、大きく2種類に大別されます。それは、AI技術者AI企画者です。

 AI技術者とは、最新の論文をチェックして、他社に先んじて最先端の技術を習得して、自社の業務やサービスに対して実際にAIを導入していく人材です。つまり、情報科学の基礎的な素養のあるAIエンジニアが該当します。

 AI企画者とは、様々なAI技術の動向や特性を理解して、会社の現場の課題にAI技術を適用することができる人材です。ビジネスを理解し、会社を発展させるために「どこ」にAIを活用すべきかを把握し、社内のビジネス実務者や社外のAI技術者との間を取り持つ「橋渡し的な人材」ということになります。

■中堅・中小企業がまずやるべきこと

 中堅・中小企業が特にやるべきことは後者のAI企画者をいかにして獲得するのか、あるいは、育てるのかということです。中堅・中小企業にとって、AI技術者を会社の中に抱えるというのは、現実的ではないケースが多いです。なぜなら、必要な技術というのは、対象となる業務やタイミングによって変わっていきます。ですから、その都度必要になるAI技術者が変わっていく可能性があるわけです。そのようなことから、AI技術者を社内に抱えるというのは、費用対効果の観点から現実的ではない場合が多くなってくるのです。

 一方で、中堅・中小企業においてAIを推進する場合に、社内にいることが望ましいのがAI企画者ということになります。どのような技術を自社のどの業務に導入するのかを決めて、外部のAI技術者とコミュニケーションを図りながら実際に導入を進めていくことが、AI企画者の役割となります。将来の会社の進むべき方向性を理解して、そのためには、どこをAI化し、費用対効果はどの程度を見込めるのかを明らかにするという重要な役割を担います。

 ですから、中堅・中小企業において、AI導入を検討する場合にはこのAI企画者をいかにして、獲得するのか、育てるのかということが重要となってくるのです。ただし、確実にAI導入を進めるということが決まっている場合を除いては、外部からAI企画者を獲得することはリスクが伴います。会社の方針が変わった時に、採用した人材が無駄になってしまうからです。ですから、AI企画者を獲得するのではなく、いかに育ているのかを考えておくことが必要となります。

 AI企画者を会社の中で育て行くための一つの方法は、大きくコストがかからない施策を今のうちから進めることです。例えば、比較的にコストがかからないRPAのプロジェクトを小規模で行ってみて、経験を積ませて、AI企画者に育てていくというようなことも、育成の観点では必要となってきます。

 以上のように、中堅・中小企業がAI導入を進めていくためには、事前に、AI企画者となるような人材を社内で育てていくことについて、今から検討しておくことが大切です。

(2019/6/26)