テクノロジー人材の育成方法
■人材育成の難しさ
人材の採用が難しくなってきている中、中堅・中小企業にとって、若手やミドル人材を辞めさせないで、育成していくことは非常に重要な課題です。更に、これからは、AIやIoT等のテクノロジーを理解し、それを会社の現場業務に適用していく、テクノロジー人材の育成まで求められるようになっていきます。
採用難、人材育成の難しさ、若い人材の離職といった問題に直面している会社が多い中で、更にテクノロジー人材の育成もとなると、ハードルが一段上がってしまうと感じる会社が多いのではないでしょうか。
■テクノロジー人材も含めた人材育成
では、このテクノロジー人材も含めて、人材育成を効果的に進めていくためには何が必要となるのでしょうか?
ずばり、人材育成の仕組みを会社の中に作り上げることです。これは、一見遠回りに見えますが、人材育成という果実を得るためには、唯一の道であり、実は一番の近道だとも言えます。この仕組みを作らずに、テクノロジー人材の育成を目的に、研修を受けさせる等、場当たり的な取り組みを進めても中々効果はあがらないでしょう。人材育成の仕組み作りには、6つの観点が必要となります。
- 経営理念・戦略における人材育成の位置づけ
- 経営理念や戦略を推進していくために、どのような人材が必要で、どのように育成していくべきか、その方針を明らかにします
- 人材の分類
- 会社にいる人材の分類を明らかにします。この人材の分類は、会社の仕事の「領域」(研究、開発、製造、営業 等)ごとの分類と、「階層」(シニア、ミドル、アシスタント等)ごとの分類のことを指します
- 人材の役割
- 会社の仕事の「領域×階層」ごとに、求められる成果と貢献の内容を明らかにします。同時に求められる成果と貢献を達成するために必要な役割と権限についても検討していきます
- 求められる人材要件
- 「領域×階層」ごとに人材に求められる、成果、貢献、役割を遂行するために、どのようなスキル(業務を行うために必要な必要な能力)、ナレッジ(業務を行うために必要な必要な知識)、マインド(仕事に取り組むための姿勢や価値観)が必要なのかを明らかにします
- キャリアゴールとキャリアパス
- 各人材が目指すキャリアゴールを明らかにし、そのゴールに到達するためにどのようなキャリアパスを歩んでいくのかを検討することです
- 人材マネジメント施策
- キャリアパスを進めていくための、育成方針を明らかにしていくことが必要となります。育成方針は、「育成内容(OJTやOff-JT)」と「評価」を両輪として検討します
以上が人材育成の仕組み作りの基本的な枠組みです。このような枠組みを考えずに、単発的に研修や講義を受けさせた場合に、その人材に求められる役割やキャリアゴール、キャリアパスとずれていると、時間も費用も全くの無駄になってしまうということになりかねません。一見遠回りに見えますが、会社全体の理念・戦略から人材育成の方針を検討しておくことが、結局は、後の手戻りや無駄を少なくすることにつながると分かると思います。
人材育成の枠組みがしっかり作られている前提で、テクノロジー人材を育成する場合には、現在様々なプログラムが提供され始めており、選択の幅が広がってきています。例えば、各自治体や大学が連携して、AI人材の育成ための講座を提供しているケースや、民間の事業者がプログラミングの研修サービスを提供しているケースもあります。これらのサービスをOff-JTとして活用することも可能です。
人材育成について、ご不明な点がありましたら、お気軽にお問合せ下さい。
(第38回: 2019/7/3)