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会社のデジタル化の全体像(デジタル・ピラミッド)

■デジタル化が付け焼刃になる理由

会社のデジタル化を進めようとしても、「何から手を付ければ良いのか分からない」とか、「システム導入が失敗した」というような事態に陥って困ってしまうということがあります。つまり、デジタル化の手順や打ち手を把握しておらず、「付け焼刃」になってしまっているという状態です。このような事態に陥ってしまう原因を掘り下げていくと、デジタル化の全体像を把握していないということが一因だったりします。

■デジタル化の全体像

 では、デジタル化の全体像とはどのようなものなのでしょうか?

 デジタル化の全体像を把握するには、デジタル・ピラミッドを理解することが重要です。デジタル・ピラミッドとは、経営ピラミッドと似たような考え方で、Why、What、Howのフレームワークと考えてください。

 Whyというのは、デジタル化のビジョンのことで、「なぜデジタル化したいのか?」を明らかにすることです。デジタル技術やデータを活用しつつ、環境の変化に対応して、顧客への価値を高めることや、社内の業務効率を高めるといったビジョンを打ち出して、社員や関係者と共有できていることが求められます。また、ビジョンを作るのと同時に、ビジネスモデルや業務プロセスをいつまでにどのようにしていきたいのかというようなロードマップを作ることも有効かもしれません。

 次のデジタル・ピラミッドの観点はWhatです。Whatの観点においては、「何をデジタル化したいのか?」ということを明らかにしていきます。ここでまず必要になるのは、課題を整理することです。課題を整理するためには、具体的な課題を洗い出して、優先順位をつけていくことが必要となります。そのうえで、デジタル化の目的を明らかにします。ビジョンを達成するために、あるいはロードマップを実現していくために何をデジタル化するのかを明らかにします。そのためには、デジタル化の対象となる業務を明らかにすることが求められます。

また、デジタル化の方向性としては、二つの方向性があります。一つは競争領域のデジタル化です。競争領域とは、会社の競争優位性に貢献するような領域のことです。競争領域の場合には、デジタル化やデータを活用して、変化に対応して顧客への価値を高めるようなシステムが構築できることが求められます。一方で、どのような会社でもそれほど差異がないような非競争領域においては、パッケージの製品を導入してシステムに合わせる形で業務を標準化することで業務を圧縮していくことが求められます。さらに、デジタル化の対象となる業務を明らかにするためには、業務を可視化していくことも必要となります。業務を可視化することで、システム選定や業務の標準化が可能となります。

 デジタル・ピラミッドの三つ目の観点はHowということです。つまり、「どうやってデジタル化するのか?」という方法論になります。Howの観点では、システム選定も重要です。そのためには、可視化された業務に基づいて対象領域を明らかにしてRFP(提案依頼書)を作成することが必要になるかもしれません。

 また、デジタル化や業務変革の対象が部門横断的なものであるならば、実行組織を立ち上げることも必要となるでしょう。また、プロジェクト・マネジメントを進めるための方法論を作っておくことも必要かもしれません。さらに、システム導入後に業務が運営できるようにトレーニングやマニュアル整備も検討しておく必要があります。

 以上のように、デジタル化においては、デジタル・ピラミッドに基づいて、Why、What、Howの観点で漏れがないように検討を進めることが求められます。デジタル・ピラミッドを把握していないと、システムを導入することだけに捕らわれるような効果の出ないデジタル化になってしまう可能性が高いです。これから、デジタル化を進める場合やデジタル化で行き詰っている場合には、一度このデジタル・ピラミッドに立ち返って考えるようにしてみてください。

(第119回: 2021/1/27)