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2021年のデジタル化の3つのトレンド

■デジタル化のトレンドの考え方

 2021年も会社のデジタル化を推し進めるDXの動きは活発化してきそうです。2025年ころになっていると、デジタル化を進めた企業とそうでない企業で大きな差ができているとの見方もあります。デジタル化が今後どのような方向に進んでいるのかを知るために、2021年のデジタル化のトレンドについて、ガートナー社の「2021年の戦略的テクノロジのトップ・トレンド」を参考に考えていきたいと思います。

 ガートナー社は9つのトレンドを紹介していますが、大企業向けで比較的に先進的な内容が多くなっています。今回は、2021年において、中小企業も含めて必ず押さえておくべきトレンドを3つにまとめました。

■デジタル化の3つのトレンド

 必ず押さえるべきデジタル化の3つのトレンドとは、「①場所を問わないオペレーション」、「②分散クラウド」、「③セキュリティー/プライバシー」です。

①場所を問わないオペレーション

 「場所を問わないオペレーション」とは、あらゆる場所にいる顧客をサポートして、従業員がどこにいても仕事ができるようにすることを指しています。コロナ禍において進んだ在宅勤務やZoomなどを通じた顧客との連携を中心として、5つの領域があるとしています。

<場所を問わないオペレーションの5つの領域>

-コラボレーションと生産性
-セキュア・リモート・アクセス
-クラウド/エッジ・インフラストラクチャ
-デジタル・エクスペリエンスの定量化
-リモート・オペレーションをサポートする自動化

 これらの5つの領域を平たく言うと、セキュリティーを担保して、働く場所を選ばずに、オフィスで働くよりも高い生産性を実現するということになるでしょう。2023年末には、40%の企業がこの「場所を問わないオペレーション」を実現するようになるとしています。

②分散クラウド

 従来のクラウド・サービスは、パブリック・クラウドと呼ばれています。パブリック・クラウドとは、地球上のどこかにあるサーバー上にアクセスしてサービスを提供するもので、経理、営業管理、人事等の様々なパブリック・クラウドが提供されています。これに対して、分散クラウドというのは、物理的に様々な場所にクラウド・コンピューティング・リソースを分散させることを意味しています。これにより、遅延が少なく、データ・コストが低く、情報保護の観点でも優れたクラウド・サービスを提供できるようになるとしています。2025年までにクラウド・サービス・プラットフォームの多くは何らかの分散クラウドを提供するようになると予想されています。このように、クラウドは分散化しつつ、パフォーマンスやプライバシー性を高める方向に発展することにより、さらに広く使われるようになると思われます。

③セキュリティー/プライバシー

 コロナ禍によって、サイバー資産の多くが従来の物理的/論理的に安全な環境から外部へと移行しているといわれています。それによって、セキュリティーの考え方を変えざる得ない状況になってきています。例えば、サイバーセキュリティ・メッシュは、個人のPCのようなセキュアでないデバイスからクラウド上のアプリケーションや分散データに安全にアクセスして使用するための最も実用的な方法と考えられています。このように、セキュリティーやプライバシー向上のための技術の発展は、「場所を問わないオペレーション」を実現するためにも益々不可欠となっていくものと思われます。

 2021年は昨年同様、コロナの感染状況によって、企業活動が制限され、影響を受けるという事態が続くと思います。その中でも、デジタル化を含めた必要な取り組みを着実に進める企業とそうでない企業とでは、大きな差が生まれるようになると思います。これまでの既成概念に捕らわれずに、柔軟に自在に新しい仕事の在り方を模索していくことが求められます。変化の時代に取り残されないように、変化を続けていける企業・個人でありたいものです。

(第117回: 2021/1/13)