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Withコロナで伸びている会社

■リーマンショック以来の時価総額の変動

 新型コロナウイルスの影響で、リーマンショック以来の時価総額の変動が起こっているとのことです。コロナショックによって業績の低迷が予想される既存の企業から、Withコロナ以降においても事業が伸びていくと予測される企業へ投資資金が流れているということのあらわれでしょか。

 今回は、時価総額の変動からどのような会社へ投資資金が集まっているのかを考察したいと思います。時価総額の変動の情報は日経新聞の情報に基づいています。

伸びている会社と苦しむ会社

 四つのカテゴリーで2019年12月末と20年6月末の世界の企業の時価総額の順位の変動を比較しています。

<トヨタ自動車 vs テスラモーター>

トヨタ自動車 (33位⇒33位)

テスラ(154位⇒36位)

 テスラは、コロナショックの前後で、大幅に時価総額を上昇させ、順位を154位から36位へと躍進させています。6月末時点で自動車業界トップのトヨタ自動車に迫っており、7月上旬で、抜き去っています。株価が大幅に変動する時期には、投資家は勝ち馬に乗ろうとする心理が働き、長期的に成長していくと予想される企業に投資資金が集まる傾向があるようです。

 これがバブルなのかどうかは、後になってみないと分かりませんが、時価総額でトヨタが抜き去られるというのは、驚きを禁じえません。時代が大きく動き出していることは間違いないようです。

<インテル vs エヌビディア>

インテル (26位⇒23位)

エヌビディア(62位⇒25位)

 半導体業界において、エヌビディアがインテルに肉薄し、7月に入り、抜きました。半導体の代表企業といえばインテルでしたが、それがエヌビディアにとって代わろうとしているのでしょうか。エヌビディアは、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)が優れており、画像認識のようなAI分野に強みを持っています。これから成長が予測される分野に軸足を置いているエヌビディアが半導体企業の中心なっていくのでしょうか。

<ウォルト・ディズニー vs ネットフリックス>

ウォルト・ディズニー (25位⇒35位)

ネットフリックス(65位⇒37位)

 エンターテイメント業界の雄であるウォルト・ディズニーに迫っているのが、ネットフリックスです。これは、Withコロナの状況が株価にストレートに表れているように感じます。東京ディズニーランドは、休業要請により、休園していました。今後もコロナ前の水準まで来園者が戻るまでには時間が掛かりそうですし、第2波、第3波がどの程度影響を及ぼすのかも未知数です。もちろん、テーマパーク以外にも映画などのコンテンツを保有していますので、来園者の低下がそのまま、売上・収益低下に反映されるということではないと思いますが、影響は少なからずあるはずです。

 一方で、Withコロナの巣ごもり消費で伸びている分野の一つがネットフリックやAmazon Prime、YouTube等の動画の視聴です。そして、この傾向は、しばらくの期間つづいていくことになりそうです。ネットフリックスがウォルト・ディズニーの時価総額を近づいているというのは、驚くべきことでないように感じます。

<バンク・オブ・アメリカ vs ペイパル>

バンク・オブ・アメリカ (16位⇒31位)

ペイパル(76位⇒32位)

 金融決済の分野では、ペイパルがバンク・オブ・アメリカの時価総額に肉薄しています。ペイパルは、オンライン決済の先駆者的な企業ですが、時価総額がバンク・オブ・アメリカと同程度までとなっているのは驚きを感じます。Withコロナにおいては、リアル店舗での購買からオンラインでの購買に消費が移ったため、オンライン決済のペイパルへの期待感が高まっているということなのでしょうか。

 以上のように、時価総額は大きく変動を見せています。時価総額が伸びている企業の特徴は、2つです。一つは、Withコロナにおいてリアルからオンラインに消費が移行したことによる恩恵を直接的に受けている企業です。もう一つは、Withコロナ以降も成長が予想される企業です。

(第93回: 2020/7/22)