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経営と業務の分離できておらず、経営幹部が現場業務に入り込んでしまうことによって、組織に弊害が起きてしまうということは良く起こります。起こりうる弊害として、3つのことが考えられます。

一つ目の弊害は、指揮命令系統に乱れが生じてしまうことです。これは、現場マネージャーと現場担当者とのコミュニケーションや意思疎通が悪くなることによって起こります。

特に経営幹部が現場マネージャーを飛び越えて、現場担当者に直接指示を出してしまうと、現場の業務が回らなくなってしまいます。これは、現場担当者が経営幹部から言われた仕事を優先することになりますので、現場マネージャーが本来指示しようとしていた仕事を任せることに支障をきたすことが多いためです。

また、このように、経営幹部と現場マネージャーという二方向から担当者に指示を出すと、担当者の業務全体を把握している、上司がいなくなりますので、その担当者の業績評価を適切に下せる上司がいなくなるという事態に陥ります。

このようなことが繰り返し起こると現場マネージャーは、自分の部下から信頼を得ることができなくなるばかりでなく、業務運営に支障をきたす結果となってしまいます。

二つ目の弊害は、経営幹部が現場に介入し続けることによって、現場マネージャーが独り立ちをすることができずに、いつまでも経営幹部に依存した状態となってしまいます。

このことは、何か大きな問題が起これば、経営幹部が介入して、問題を解決してくれるという甘えのようなものが出てしまうことが一因となっています。

そして、下記のような「負のサイクル」に陥ってしまうのです。

・大きな問題が発生すると経営幹部が現場に介入する
・現場で問題を解決するスキルが身につかない
・再び大きな問題が発生したときに、現場で問題に対応することができない
・経営幹部が現場に介入し続けることが必要となってしまう

この「負のサイクル」を断ち切るためには、一定期間、組織の生産性が低下するとしても、部下を育ているために、極力現場には介入せずに現場で問題を解決させるという覚悟を経営幹部が持つことが必要となります。

三つ目の弊害は、経営幹部が現場の仕事に時間を割いてしまうことによって、本来果たすべき、部全体・会社全体の利益に直結するような重要な意思決定や、中長期の組織の方向性を検討するといったことに時間を割くことができなくなることです。

経営幹部は、目先の業績を追うことは、もちろん大切ですが、現場スタッフが見通せない先の戦略や施策を検討し、そちらに組織が向かうように動かしていくことが本来求められていることです。

経営幹部が足元の現場業務に必要以上に囚われると、先のことが見通せなくなり、気が付けば崖から真っ逆さまという事態にもなりかねません。

このように、経営幹部が現場に入り込んでしまうと、現場の指揮命令系統を壊し、人材育成も阻害し、少し長いスパンで見ると会社を致命的な危機に向かわせてしまうことになりかねません。

このことを回避するためには、一定期間、停滞を経験することになっても、経営幹部が現場に介入しない覚悟を持つことが必要です。そして、経営幹部が介入しなくても現場が回るような仕組みを一刻も早く構築していく必要があります。

(第10回: 2018/12/19)