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ブロックチェーン②(技術的な特徴)

■ビットコイン・ブロックチェーンについて
今回は、ブロックチェーンの技術的な特徴やアドバンテージについて、お話ししていきたいと思います。ブロックチェーン①において、ブロックチェーンにはいろいろな種類があるというお話をしました。ここでは、ビットコイン用のオリジナル・ブロックチェーンに着目したいと思います。

オリジナル・ブロックチェーンを特徴づける技術は2つあります。一つは、「公開鍵と秘密鍵」、もう一つは「PoW」というアルゴリズムです。

■公開鍵と秘密鍵について
公開鍵と秘密鍵という考え方は、ある人からある人にビットコインを送るときに使用されます。公開鍵と秘密鍵をとても簡単に説明したいと思います。まず、3つの前提があると考えてみてください。

①全てのユーザーは公開鍵と秘密鍵が付与される
②秘密鍵は自分自身にしか把握できないが、公開鍵は全てのユーザーに公開されている
③誰かがAというユーザーの公開鍵を使って暗号化した情報は、Aというユーザーの秘密鍵でしか解読することができない

これらの前提を踏まえると、下記のイメージのように、AさんからBさんに確実に送金することが可能になることがわかります。まず、AさんはBさんの公開鍵を使って、送金情報を暗号化します。この場合、暗号化された情報は、Bさんの秘密鍵でしか解読することができません。必然的に、暗号化された情報はBさんにしか解読することができません。そうすると、AさんはBさんだけに確実に情報を伝達できるということが分かりますよね。

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秘密鍵と公開鍵を使用すれば、Bさんに成りすまして、Aさんからコインを送金してもらうというような不正行為を防ぐことが可能なります。

しかし、AさんがBさん以外のCさんに全く同じコインを送金しているという、二重支払いをどのように防止することができるでしょうか?

BさんやCさんはAさんが全く同じコインを送金しているということを把握することは不可能です。また、ビットコイン・ブロックチェーンには、管理者がいませんので、第三者が確認することも不可能です。

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この問題を解決するためのサトシナカモト氏の最大の発明がPoW(Proof of Work)という枠組みです。

■PoWについて
PoWは、AさんがBさんに送金したというような一つ一つの取引を一定数集めて、その際に二重支払いや不正な取引を除外して、承認するという仕組みになっています。一定数集められた取引をブロックと呼んでいて、このブロックを鎖状に繋いでいくので、ブロックチェーンと呼ばれているのです。

しかし、誰がわざわざブロックを作って、他人の取引の承認をするのでしょうか?

PoWが最も優れているのは、この問題を見事に解決しているからです。マイナーと呼ばれる人たちにブロックを作ってもらい、更に約10分で解けるクイズに答えてもらいます。そのクイズに回答できたマイナーにブロックを生成する権限を与えると同時に報酬が支払われるようになっています。

クイズに答えるには、コンピュータに高速で計算をさせる必要があります。電気代もかかりますし、設備投資も必要です。更にマイナーに支払われる報酬はビットコインで支払われますので、ビットコインの価格が下がるような不正行為や詐欺行為をマイナーが行うのは経済合理性の観点から考えられません。

結果として、二重支払いや不正を行っている取引は除外されて、正しい取引のみ承認される仕組みとなっているのです。

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以上がビットコイン・ブロックチェーンを特徴づける、「公開鍵と秘密鍵」と「PoW」という考え方でした。

[参考文献]
Satoshi Nakamoto. (2008). Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System. https://bitcoin.org/bitcoin.pdf#search=%27Bitcoin%3A+A+PeertoPeer+Electronic+Cash+System%27

岸上順一, 藤村滋, 渡邊大喜, 大橋盛徳, 中平篤. (2017). ブロックチェーン技術入門. 森北出版株式会社

(掲載: 2018/05/12)